2022 Fiscal Year Annual Research Report
フォトトロピンが制御する光シグナル伝達ネットワークの解明
Project/Area Number |
21H02511
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
武宮 淳史 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80448406)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 気孔開口 / フォトトロピン / 青色光 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
フォトトロピンは光受容により活性化する受容体キナーゼであり、下流因子のリン酸化を通じて光情報を細胞内に伝達し、気孔開口を引き起こす。我々はこれまでにフォトトロピンのリン酸化基質を2つ(BLUS1・CBC1)同定し、これらが細胞膜H+-ATPaseの活性化とアニオンチャネルの不活性化を通じて気孔開口を促進することを明らかにしてきた。即ち、フォトトロピンは細胞内で多様な因子を同時にリン酸化し、シグナル伝達ネットワークを形成することで、気孔開口を統合的に制御する可能性が示唆される。このシグナル伝達ネットワークに関与する新奇重要因子を同定するために、昨年度はamiRNAを用いた変異体スクリーニングを進めてきた。amiRNAは遺伝子重複のあるファミリー遺伝子の発現を同時にノックダウンする手法であり、従来のEMSやT-DNAを用いた突然変異体のスクリーニングでは単離することが難しい重要因子を単離することが可能である。本年度は昨年度に引き続き、amiRNAを発現する変異体の1次スクリーニングを進めるとともに、2次スクリーニングとして次世代の植物体における再現性の確認を行い、気孔開口に異常を示すラインを多数単離した。一部についてはゲノムシーケンスによってその標的遺伝子候補を検出することに成功し、原因遺伝子同定と機能解析に着手した。現在、標的遺伝子候補にT-DNAが挿入された変異体を入手し、掛け合わせにより多重変異体の作成を進めている。また、T-DNA挿入変異体が入手できなかったものについては、ゲノム編集を利用した多重変異体の作製を試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
amiRNA挿入変異体系統を対象としたスクリーニングから、青色光に応答した気孔開口に再現よく異常を示す変異体を複数単離し、その標的候補遺伝子を同定することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
T-DNA挿入変異体やゲノム編集を利用し、amiRNA変異体の原因遺伝子を同定し、当該因子が気孔開口を制御する分子メカニズムの解析を進める。
|
Research Products
(10 results)