2021 Fiscal Year Annual Research Report
がんの発生・悪性化における微量リン脂質分子種の重要性
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21H02680
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐々木 純子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30333371)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内シグナル脂質であるイノシトールリン脂質(PIPs)は、グリセロール骨格に2つのアシル基とイノシトール環が結合した構造を有する。イノシトール環のリン酸化状態により7種類に分類されるPIPsは個々に特有の機能を有することが明らかになってきているが、アシル基組成の違いによるPIPs分子種特有の機能は知られていない。 我々は、特定のアシル基組成を有するPIPs分子種の蓄積とがんとの相関を示唆する予備的知見を得ている。そこで本研究では新たな手法の開発を通して、特定のPIPs分子種とがんの発生・悪性化との関連を解明する。 本年度はまず、アシル基組成の異なるPIPs分子種機能解析のための新たな方法の開発を行った。既存の脂質リポソームを用いた沈降法ではPIPs分子種によりリポソームの沈降状況に違いが生じ、再現性のある実験結果を得ることができなかった。この点を克服するために、シリカビーズを支持体とする方法の開発に取り組んだ。種々のPIPs分子種を用いて作製した脂質ベシクルは、濃度依存的にシリカビーズに結合することを見出した。次に種々のPIPs結合ドメインのリコンビナントタンパク質(PIPs―BP)とPIPs結合ビーズとを混合したところ、PIPs―BPの結合が認められたことから、シリカビーズ上のPIPsはタンパク質に認識され得ることが示された。しかもPIPs―BPのPIPsに対する結合プロファイルは、別の方法で解析されたこれまでの報告と一致するものであった。今後はがん細胞やがん組織由来のライゼートを用いた解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、新たな脂質解析方法を確立することができた。研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
がん細胞やがん組織由来のライゼートを用いて、PIPs分子種特異的に結合するタンパク質を探索する。
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