2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of bidirectional signalings between nuclear epigenome and mitochondria and their biological significance
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21H02686
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピゲノム / ミトコンドリア / 遺伝子 / クロマチン / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
核エピゲノムはミトコンドリア由来の代謝物(アセチルCoAやS-アデノシルメチオニンなど)を用いて化学修飾されており、他方、ミトコンドリアのタンパク質の殆どは核ゲノムにコードされている。このため、両者のコミュニケーションが細胞機能の恒常性維持に不可欠である。細胞核からミトコンドリアへの順行性経路、ミトコンドリアから細胞核への逆行性経路の2つのシグナリングがあるが、その分子機序には不明な点が多い。本研究では、エピゲノムとミトコンドリアの相互作用に着目し、両向性シグナリングの機構を明らかにすることを目的とした。具体的には、上記のエピゲノム・転写因子の解析から、順行性経路を明らかにする。また、ミトコンドリアストレスによる逆行性経路、標的遺伝子座とエピゲノム制御の解明に挑む。生命現象における両向性シグナリングの生物学的な意義について理解を目指した。とくに、LSD1リジン脱メチル化酵素の骨格筋特異的なKOマウスの解析から、LSD1はグルココルチコイドや持久運動などの環境刺激への応答を適正化することを報告した。ミトコンドリアストレスによる逆行性経路において、amphiregulin(AREG)やthrombospondin 1 (THBS1) などの分泌表現型が誘導されること、c-JUNおよびYAP1のシグナリングを介してAREG遺伝子やTHBS1遺伝子のエンハンサーが活性化されることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エピゲノムとミトコンドリアを機能的に連結する因子について、新知見を得ている。とくに、LSD1脱メチル化酵素が骨格筋の環境適応に働くこと、ミトコンドリアストレスによる分泌表現型の分子機序という最先端の研究成果が出ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初の計画以上に進展してきたため、最終年度に向けて研究を推進する。
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Research Products
(20 results)