2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the mechanism of ncRNA-mediated carcinogenesis using the DICER1 syndrome model
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21H02706
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80251304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 知宏 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40385547)
須藤 カツ子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (50126091)
大野 慎一郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (90513680)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DICER1症候群 / 胆管癌 / 肝間葉性過誤腫 / miRNA-5p / miRNA-122 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、DICER1症候群の患者の遺伝子型を肝臓特異的に再現する遺伝子改変マウス(DICER1症候群モデルマウス)を作製した。このDICER1症候群モデルマウスは、肝臓において内在性の正常Dicer1を欠失し、RNaseⅢb ドメインにミスセンス変異を有する変異体Dicer1のみを発現する。そこで、令和3年度は、まずDICER1症候群モデルマウスの肝臓における、加齢に伴う病変の変化を検討した。その結果、DICER1症候群モデルマウスの表現形の解析では、肝臓に様々な病変(肝炎、線維化、嚢胞、胆管増生、腫瘤形成)が認められた。また、加齢に伴い過誤腫様の腫瘤形成から胆管癌および多発性肝嚢胞が認められた。更に間葉性過誤腫および肝癌の発症にも関与することが明らかとなった。一方、DICER1症候群には、様々な腫瘍の発生が確認されているが、そのメカニズムは不明である。これまでの293T、293T DICER1 KO、293T DICER1G1809RMutant細胞株を用いたsmall RNA-seqの結果では、DICER1変異体において新規のmiRNAが多数単離されている。そこで、令和3年度では、DICER1症候群モデルマウスにおいてsmall RNA-seqを行った。その結果、幾つかの変異miRNAの発現を確認した。さらに、miRNA-5pの構造体であるmiRNA-122の極端な減少も確認された。従ってDICER1変異に伴うこれらのmiRNA-5pの欠失が肝病変の発症の原因である可能性が示唆された。そこで、次にmiRNA-5pの補充療法の検討を行った。miRNA-5pとmiRNA-3pの位置を入れ替えたmiRNA前駆体を発現するAAVベクターを作製し、DICER1変異体を発現する細胞株へ導入した結果、miR-122-5p等のmiRNA-5pの発現を回復させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、DICER1症候群のモデルマウスの作製と、その発症のメカニズムを解明することになる。令和3年度においては、DICER1症候群モデルマウスの表現形の解析とモデルマウスにおけるmiRNA-5p群の発現異常を明らかにすることができた。また、miRNA-5pの補充療法の検討として、DICER1変異体を発現する細胞株へ導入した結果、miR-122-5p等のmiRNA-5pの発現を回復させることができた。従ってmiRNA-5pの補充療法は、DICER1遺伝子変異を原因とする肝臓疾患に対する治療法として期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の3つの項目の研究を行う。 項目1:DICER1症候群の腫瘍モデルマウスの樹立 これまでは、ROSA26遺伝子領域にCAGプロモーターの下流でRNaseIIIbドメインが欠失したDICER1変異体をCre依存に発現するマウスとCre依存性に内在性DICER1遺伝子を欠失するマウス、さらに臓器特異的にCreを発現するマウスの3系統のマウスを交配し、モデルマウスを作製してきた。今後は、内在性DICER1のRNaseIIIbドメインを欠失したマウスの作製を行う。 項目2:DICER1症候群モデルマウスにおける肝疾患に対するmiRNA補充療法の検討 DICER1変異の機能解析からは、RNaseIIIbドメインの欠失により、miRNA-5pタイプのmiRNAの発現低下及びループ構造を維持した異常なmiRNA-5p armが蓄積することが明らかになった。一方、ヒトおよびマウスの肝臓で発現するmiRNAを網羅的に解析すると、miR-122-5p等の一部のmiRNAの発現が突出して高い。このことから、DICER1変異に伴うこれらの発現の高いmiRNA-5pの欠失が発症の原因である可能性が示唆された。そこで、今後は、miRNA-5pの補充療法の検討を行う。具体的には、miRNA-5pとmiRNA-3pの位置を入れ替えたmiRNA前駆体を発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを作製し検討を行っていく。 項目3:胆管発生過程におけるDICER1変異体の関与 これまでの肝腫瘍モデルの解析から、DICER1変異体は、胆管の発生異常に関与することが示唆された。しかし、現在のところmiRNA-5pの異常が、胆管発生のどの段階で異常を誘導しているのか不明である。そこで、今年度は、胎児期における胆管発生異常を電子顕微鏡を用いて解析していく。
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