2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the immune mechanism for protection of intrarectal HIV infection
Project/Area Number |
21H02745
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
俣野 哲朗 国立感染症研究所, 副所長, 副所長 (00270653)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウイルス / 免疫学 / 感染症 / 微生物 / 細胞傷害性T細胞 / 粘膜免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
経粘膜感染は主要なウイルス伝播経路の一つであり、その防御に結びつく免疫機序の解明は学術的にも感染症克服の観点からも重要である。経粘膜感染をするウイルスには、粘膜上皮細胞に感染するものと、感染しないでトランスサイトーシス等により粘膜上皮バリアを通過し、粘膜下で感染・増殖して播種するものがある。本研究は、後者の代表的ウイルスであるHIV/SIVを対象とし、粘膜上皮バリア通過後の粘膜下感染・増殖の阻止による感染成立防御の可能性の検討および機序解明を目的とする。主に、サル経直腸サル免疫不全ウイルス(SIV)接種モデルを用い、粘膜下感染・増殖過程を中心とした解析研究を推進することとした。 感染急性期の粘膜下感染・増殖過程の解析においては、蛍光マーカーを発現する非増殖型SIV Env搭載シュードウイルスと野生型ウイルスの両者の同時接種を計画しているが、2022年度には、まず前者の非増殖型SIV Env搭載シュードウイルスおよび後者の野生型SIVの感染効率を培養細胞系で確認した。一方、採血、リンパ節生検および直腸生検により得られたリンパ球を用い、Flow cytometry等を駆使して、各種フェノタイプを有する細胞分画の感染頻度測定、サイトカイン・ケモカイン誘導や抗原特異的T細胞反応の解析系の至適化を継続した。さらに、サルにおいて、作製したウイルスの経直腸接種後に、安楽殺・解剖を行って直腸粘膜組織を収集し、ウイルスゲノムや抗原発現検出、T細胞反応等を含めた感染免疫学的解析系の至適化を推進し、基盤データ収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染急性期の粘膜下感染・増殖過程の解析に用いる蛍光マーカー発現非増殖型SIV Env搭載シュードウイルスの感染効率を確認した。血液、リンパ節生検検体および直腸生検検体由来のリンパ球を用いた感染免疫学的解析系の至適化に加え、サルにおけるウイルス経直腸接種後の安楽殺・解剖によって得られた直腸粘膜組織における感染免疫学的解析系の至適化を推進し、基盤データ収集を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築したウイルスを用いてサルへの経直腸接種実験を行い、これまで構築してきた感染免疫学的解析系を駆使して、直腸粘膜局所のウイルス感染・増殖に関する基盤データ収集を継続・推進する。また、ワクチン接種実験を開始し、ワクチン接種サルおよびワクチン非接種サルにおいて、血液および直腸生検・リンパ節生検で得られた組織より分離した細胞を用い、サイトカイン等の誘導や抗原特異的T細胞反応を解析する。さらに、これらのサルに、蛍光マーカー発現非増殖型SIV Env搭載シュードウイルスと野生型SIVを用いた経直腸SIVチャレンジ実験を行い、感染免疫学的解析を推進して、粘膜感染防御機序解明を進める。
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Research Products
(10 results)