2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規人工シナプスコネクターと再生環境整備による超回復―神経再生への新規治療展開-
Project/Area Number |
21H02817
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 政人 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00345878)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
柳原 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90252725)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 神経再生 / 脊髄損傷 / コンドロイチン硫酸 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系損傷に対する治療およびその基盤となる基礎研究を目指し、神経再生阻害因子CS(コンドロイチン硫酸)の除去による再生環境整備と人工シナプスコネクターを用いた積極的な神経の人為接続という2つの異なる新しい再生医療へのコンセプトを融合し、「超回復モデルの作成と検証」と「超回復を活かしてのAIモーションキャプチャーによる機能改善過程の解析」をとくに推進する。再生阻害因子の制御ではCS発現抑制のための核酸医薬の導入(Nature Commun.)を、シナプスコネクターは我々の国際共同研究によって作成及び実証された新規人工合成キメラタンパク質CPTX(Science 2019)を応用するものである。本年度はおもに下記の2点を中心に推進した。 1)既存の脊髄損傷モデルの生理的回復と修復を遥かに凌駕する超回復モデルの作製 中枢神経系損傷に対して、阻害因子であるCSの発現を核酸医薬で抑制し「再生環境整備」とともにと人工的シナプスコネクターCPTXによる「シナプスの人為的積極的結合」の融合を進めるものである。当初、相加相乗的な効果を期待したが、CPTXの機能が細胞外基質であるCSで制御されるという想定外の画期的な結果を得ている。とくにCSの硫酸化量がCPTXの組織トラップ(神経組織局部への留置)に機能するという結果を得て解析を進めている。これは神経再生における細胞分化へも繋がる内容となり大きな展開を得ている。2)超機能回復への“AIモーションキャプチャー(キネマトレース)解析”の導入と確立 客観的かつ定量的な運動機能回復評価が可能な「AI機械学習を利用したモーションキャプチャー」システムを構築した。歩行機能を計測する新しいシステム構築(FootPrintシステム)を確立することが出来た。それぞれの機能回復マウスにおいて特徴的な運動機能改善の要素を抽出可能とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIモーションキャプチャ―と感覚機能解析においては、新型コロナ禍での解析機器やシステム導入の遅れもあり進捗に影響したが、シナプスコネクター機能と細胞外環境の相互作用などにおいては、当初の想定外の結果を得ることが出来、神経再生およびシナプスオーガナイザー分子による神経やグリア細胞分化に関わる内容への興味深い展開が進むこととなり成果を得つつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
シナプスコネクターおよびシナプスオーガナイザーの局在と機能を、細胞外マトリックスから制御する可能性という新たな知見が得られた。全く新しい発見であり、これらを突き詰めることで、神経再生や神経系細胞分化への新たな概念がもたらされると期待し、解析を進める。AI利用による運動機能回復の解析は、系の確立は出来た。これらを推進して、核酸医薬の応用展開と、それに引き続くシナプスコネクターの応用につながる結果を取りまとめる予定である。
|