2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation into neuronal repair and functional recovery in neurodegenerative diseases
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21H02819
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
原田 高幸 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 参事研究員 (90345306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行方 和彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 副参事研究員 (70392355)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 遺伝子治療 / 軸索再生 / 視神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳や視神経などの中枢神経系において神経回路が傷害されると、その修復や機能の改善は不可能と考えられてきた。神経機能の回復には損傷された軸索の伸長、上位中枢への誘導、シナプス形成、髄鞘形成など、多くの過程をクリアする必要がある。こうした問題は幹細胞からの神経細胞作製や移植が可能になった場合でも容易には解決しない可能性が高く、今後ますます重要な課題となることが予想される。 近年では神経機能の回復に関する様々な研究が行われており、軸索伸長を促進する因子、軸索ガイダンス因子、さらには再生軸索の髄鞘化を促進する遺伝子などが次第に明らかとなっている。こうした因子を促進する有力な候補として脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor; BDNF)などの神経栄養因子が以前から研究されている。しかし神経栄養因子は半減期が短いことから繰り返し投与の必要性があり、また仮に反復投与できたとしても、受容体の発現量が低下するなどして、持続的な効果を得ることは難しいと考えられてきた。 今回我々はBDNFの受容体であるTrkBの細胞内活性領域を細胞膜に発現させることにより、BDNFの投与は必要無しに、強力かつ持続的な細胞内シグナルの活性化を起こすことに成功した。またこの改変型TrkBを活用した遺伝子治療ベクターを眼球内に投与したところ、一度の投与で視神経軸索の再生や網膜神経細胞の保護効果が観察された。今のところ明らかな副作用などは観察されておらず、今後の臨床応用に期待がもたれる状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、計画した遺伝子治療実験によって、視神経の再生と保護効果が確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の考案した遺伝子治療には数ヶ月間の持続効果があり、かつ十分な治療効果が観察された。今後は遺伝子導入を行う細胞の特異性や効果を上げるために、さらなる遺伝子ベクターの改良や効果的な投与方法を検討する。また炎症や癌化などの副作用が見られないか、さらに長期間の効果についても観察を続ける予定である。
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Research Products
(18 results)