2021 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-scale Imaging of Water Molecules using MRI and Isotope Microscope
Project/Area Number |
21H02857
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 與亮 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10374232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 浩之 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (70829887)
杉森 博行 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (20711899)
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
坂本 直哉 北海道大学, 創成研究機構, 助教 (30466429)
小牧 裕司 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 室長代理 (10548499)
小畠 隆行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 次長(定常) (00285107)
安井 正人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90246637)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水動態 / MRI / 同位体顕微鏡 / Glymphatic system / 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
①MRI撮像法開発:O-17標識水の存在によるT2値の短縮を定量的に計測してO-17濃度を定量解析するため、プリパルスを利用した高速T2 mapping法を開発して最適化を行った。異なる濃度のO-17標識水を含有した濃度ファントムを作成し、高速T2 mapping法と従来のFSE法によるT2 mapping法の精度を比較した。従来法と比較して高精度のT2値測定が可能となった。 ②正常動物・疾患モデル動物でのMRI撮像:正常マウスやラットにてO-17標識水の静脈内投与法や髄腔内投与法、頸動脈内投与法、腹腔内投与法などを確立した。静脈内投与や頸動脈内投与によって脳内の有意なMRI信号変化を確認した。水中毒モデルラットにO-17標識水を腹腔内投与してMRI撮像を行い、AQP4欠損ラットとの比較を行った。AQP4欠損によって脳内の水貯留が増加することが明らかになった。ALSモデルマウス・ラットにてO-17標識水を静脈内投与してMRI撮像を行った。野生型と比較して錐体路での水漏出が増加していることが明らかとなった。 ③同位体顕微鏡による水分子イメージング:新たに導入した多機能コーティング装置を用いて凍結下での標本作成から同位体顕微鏡によるイメージングまでの解析手順を確立した。ラット脳にO-18標識水を直接注入し、注入部位でのO-18濃度の上昇を確認した。摘出したラット肝の門脈内にO-18標識水を注入し、血管内や類洞内のO-18濃度の上昇を確認した。 ④ヒトでのMRI撮像:認知症患者を対象にしたO-17標識水の髄腔内投与研究にて、特発性正常圧水頭症患者とアルツハイマー型認知症患者で、髄腔内の水吸収速度に差があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①MRI撮像法開発:高速T2 mapping法の開発は順調に進んでおり、濃度ファントムでの検討においても従来法と比較して高精度のT2値測定が可能となっている。 ②正常動物・疾患モデル動物でのMRI撮像:正常動物にて様々なO-17標識水の投与法を確立できており、正常の水動態や疾患モデル動物での水動態の検討を十分に行うことができている。AQP4欠損による水動態の変化や、疾患による水動態の変化も検出できており、研究は順調に進んでいる。 ③同位体顕微鏡による水分子イメージング:凍結下での標本作成から同位体顕微鏡によるイメージングまでの解析手順を確立できており、世界で初めて水分布のミクロイメージングに成功した。今後は精度向上を目指していくが、現段階では順調に研究が進んでいる。 ④ヒトでのMRI撮像:臨床研究でも解析が進んでおり、症例数も増えているので研究は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
①MRI撮像法開発:昨年度に開発した高速T2 mapping法について、今年度は空間分解能と時間分解能のバランスを最適化する。既存のT2 mapping法をゴールドスタンダードにして、濃度の異なるO-17標識水を満たした濃度ファントムを撮像し、可能な限り短時間で空間分解能の高いパラメータを設定し、濃度計測の精度も検証する。この高速T2 mapping法を利用して、実験動物の撮像を行う。 ②正常動物での水動態の解明:昨年度は正常動物にてO-17標識水の静脈内投与法や髄腔内投与法、頸動脈内投与法、腹腔内投与法などを確立したが、今年度はそれらの投与法を活用し、投与後に連続的にMRI撮像を行う。経時的なMRI撮像データの信号値からO-17濃度に変換し、経時的な濃度マップを作成することで脳内の水分布の変化、すなわち水動態を可視化する。静脈内・動脈内や髄腔内に投与した水分子が、血管や血管周囲腔からどのように脳実質に入るかを解析する。 ③AQP4ノックアウト動物でも同様の検討を行い、AQP4の有無による水動態の変容を明らかにする。さらにALSモデル動物などの疾患モデル動物でも同様の検討を行い、正常動物との水動態の変容について解析する。 ④同位体顕微鏡イメージング:凍結切片を用いた同位体顕微鏡イメージングの開発を進める。摘出した肝臓にO-18標識水を注入し、異なる時間経過で標本作成を行うことで、水分布の変化を解析し、水の流れを推定する。肝臓での検討によって標本作成技術やイメージング技術の最適化を行った後に脳での検討に移行する。脳でも同様にO-18標識水を注入して異なる時間経過で標本作成を行い、水動態を解析する。
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Research Products
(47 results)