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2021 Fiscal Year Annual Research Report

Samd9/9L症候群とIFNシグナルから迫るMDS発症の分子メカニズム

Research Project

Project/Area Number 21H02948
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

稲葉 俊哉  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60281292)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 長町 安希子  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (20585153)
松井 啓隆  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60379849)
金井 昭教  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (60549567)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsSamd9/9L / 骨髄異形成症候群 / MDS / 造血障害
Outline of Annual Research Achievements

モノソミー7や7番染色体長腕(7q)欠失は、骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)の15%にみられる、最も頻度の高い染色体異常である。Samd9とSamd9L (Samd9/9L)の両遺伝子は7q21上にあり、受容体取り込みやエンドソーム交通の制御因子をコードする。一見正常な7qを持つ小児骨髄性腫瘍で、Samd9/9Lを含むゲノム領域の微小欠失が検出されることや、ホモ・ヘテロSamd9L欠失マウスにMDSが多発することから、Samd9/9Lは7q欠失の責任遺伝子のひとつである。一方、その機能亢進型点変異が、先天性造血不全を主徴とする「Samd9/9L症候群」患児で多数発見され、対応するSamd9L変異マウスも造血不全を示した。本研究では、これらのマウスなどを材料に分子細胞生物学的分析を進めることにより、Samd9/9Lの機能を解明することを目的とする。
2021年度は、実験系の確立を主眼に研究を進めた。試行錯誤の結果、東京理科大の伊川研究室との共同研究で、正常(+)、Samd9L欠損(-)および変異(m)マウス骨髄から、増殖因子依存性の未分化造血iLS細胞の樹立に成功した。iLS 細胞は、増殖因子カクテルとフィーダー細胞存在下に旺盛に増殖したが、iLS(+)、iLS(-)、iLS(m)細胞間で増殖因子感受性に大差はなかった。トランスクリプトーム解析を行ったところiLS(m)細胞では、ある特定のサイトカインに対する感受性が増強する一方、iLS(-)細胞では感受性が減弱するなど、臨床像を説明可能な有望な予備的結果が得られた。この実験系を用いることで、来年度以降の研究継続の土台ができたと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

Samd9Lは発がん抑制遺伝子であり、細胞増殖抑制効果を持つが、その機能亢進型変異体(m)は理論上、細胞増殖抑制効果がより強化される(実際、上述したように、この変異体を持った造血幹細胞を有するSamd9/9L症候群患児には、造血不全症が発症する)ためか、既存の株化細胞などで発現させることに非常な困難が伴った。これまでに、さまざまな実験系を試行した中で、東京理科大の伊川研究室との共同研究で、正常(+)、Samd9L欠損(-)および変異(m)マウス骨髄から、SCF(stem cell factor)/IL-7/Flt-3ligand依存性の未分化造血iLS細胞の樹立に成功した。iLS 細胞は、E2Aの抑制因子であるId3を発現させることにより、分化を停止させた造血前駆細胞であり、増殖因子カクテルとフィーダー細胞存在下に旺盛に増殖したが、iLS(+)、iLS(-)、iLS(m)細胞間で上記の増殖因子感受性に大差はなかった。次世代シーケンサによるトランスクリプトーム解析を行ったところ、iLS(m)細胞では、特定のサイトカインに対する遺伝子発現プロファイル上、感受性が増強する一方、iLS(-)細胞では感受性が減弱していた。また細胞の増殖においても、当該サイトカインに対する感受性に変化が認められ、臨床像を説明可能な有望な予備的結果が得られた。
以上、今後の研究推進の土台となる実験系が得られたことから、概ね順調に進展しているとの自己評価とした。

Strategy for Future Research Activity

今後は、iLS細胞を用いた分子細胞生物学的な研究を特段に発展させることを計画している。このため、当該サイトカイン受容体代謝に対するSamd9Lの効果を、免疫蛍光法などを用いて解析を進めるとともに、Samd9Lの生化学的機能の解析により、当該サイトカインのシグナルを増強する分子メカニズムを解明する。これまでの検討から、上述した様にSamd9Lはサイトカインなどの受容体取り込みやエンドソーム交通の制御に関与する結果を得ている。これまでに同定してきた分子レベルでの結合パートナー候補を手がかりに、分子メカニズムを解明する。また、iLS細胞で得られた結果が、造血幹細胞で再現できるか確認実験を行う。このため、+/-/m各マウス骨髄からフローサイトメーターにより造血幹細胞をソーティングし、当該サイトカイン存在下で培養して、増殖・分化能を+/-/m間で比較する。また、そのcDNAを増幅して、トランスクリプトーム解析を行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] Multiorgan failure with abnormal receptor metabolism in mice mimicking Samd9/9L syndromes2021

    • Author(s)
      Nagamachi Akiko、Kanai Akinori、Nakamura Megumi、Okuda Hiroshi、Yokoyama Akihiko、Shinriki Satoru、Matsui Hirotaka、Inaba Toshiya
    • Journal Title

      Journal of Clinical Investigation

      Volume: 131 Pages: -

    • DOI

      10.1172/JCI140147

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] A Novel RNA Synthesis Inhibitor, STK160830, Has Negligible DNA-Intercalating Activity for Triggering A p53 Response, and Can Inhibit p53-Dependent Apoptosis2021

    • Author(s)
      Morita Akinori、Ochi Shintaro、Satoh Hidetoshi、Ujita Shohei、Matsushita Yosuke、Tada Kasumi、Toyoda Mihiro、Nishiyama Yuichi、Mizuno Kosuke、Deguchi Yuichi、Suzuki Keiji、Tanaka Yoshimasa、Ueda Hiroshi、Inaba Toshiya、Hosoi Yoshio、Aoki Shin
    • Journal Title

      Life

      Volume: 11 Pages: -

    • DOI

      10.3390/life11101087

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Revertant somatic mosaicism as a cause of cancer2021

    • Author(s)
      Inaba Toshiya、Nagamachi Akiko
    • Journal Title

      Cancer Science

      Volume: 112 Pages: 1383~1389

    • DOI

      10.1111/cas.14852

URL: 

Published: 2022-12-28  

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