2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of next-generation patient-derived xenograft models for precision medicine
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21H02949
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹中 克斗 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (30301295)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 患者組織移植モデル / 免疫不全マウス / SIRPA / マクロファージ寛容 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト正常造血幹細胞のアッセイ系として開発された免疫不全マウスによる異種移植の系は、造血器腫瘍・固形腫瘍の幹細胞純化や病態解明、幹細胞標的治療の開発、患者腫瘍組織移植モデルによる抗がん剤の治療効果予測への応用、あるいはマウス内のヒト細胞への病原体感染実験モデル・ワクチン開発への応用が期待されている。しかし、このような多方面への展開には、このモデルにおいて正常・腫瘍を含めたヒト移植片の「全般的生着効率の向上」がいかに得られるかが鍵となる。本研究では、これらの問題点を克服するため、我々が独自に開発した「完全マクロファージ寛容」「骨髄ニッチのオープン化」を導入したマウスを組み合わせ、あらゆる疾患を再現可能な全般的疾患再現モデルを構築し、次世代ヒト化患者腫瘍組織移植モデルの樹立によって、高精度医療を横断的にサポートする基盤的技術を確立することを目的としている。 我々は、すでに、B6バックグラウンドで、Rag2欠損、IL2Rg欠損に、骨髄ニッチオープン化のためのKit変異を導入したB6.Rag2(null)IL2Rg(null)Kit(Wv/Wv)マウスを樹立し、「骨髄ニッチのオープン化」に成功し、Stem Cell Reports誌(2016年)に報告したが、さらに、BRGSにヒトSIRPAをノックインしたBRGhSラインも樹立し、「完全マクロファージ寛容」導入も完了している。当該年度では、BRGhSラインの移植レシピエントしての有用性を詳細に解析し、Blood誌(2020)に報告した。当該年度では、引き続きBRGSKとBRGhSを交配し、本課題における最終形のマウスラインの1つであり、次世代PDXモデルの完成形であるBRGhSKの樹立とラインのコロニーの拡大を図っており、新規マウスラインのヒト造血支持能の検証と、マウス内でのヒト疾患再構築と、幹細胞分画の同定を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では、我々が独自に開発した「完全マクロファージ寛容」「骨髄ニッチのオープン化」を導入したマウスを組み合わせ、あらゆる疾患を再現可能な全般的疾患再現モデルを構築し、次世代ヒト化患者腫瘍組織移植モデルの樹立によって、高精度医療を横断的にサポートする基盤的技術を確立することが目的であり、まず、当該年度では、BRGhSK・BRGhSK-A2マウスラインの樹立を予定し、交配を継続している。我々は、BRGSに、c-KitWv変異を追加導入したBRGSKライン、および、BRGSにヒトSIRPAをノックインしたBRGhSラインも樹立しており、BRGSKとBRGhSを交配した完成型BRGhSKのラインを樹立し、マウスラインの拡大を行っている。Kitホモ変異は生殖能を欠くため、ヘテロ変異でマウスを維持していることから、マウスコロニーの拡大に時間を要している。現在も、適宜、凍結杯などで保存を行いつつ、マウスコロニーの拡大に努めている。BRGShK-A2マウスラインについては、HLA-A2マウスはすでに取得済みであり、マウスラインの樹立を継続する。また、ヒト造血細胞の構築能や、ヒト化マウス作成のため、日本赤十字社と契約締結を行い、臍帯血の提供を受けており、臍帯血から幹細胞分画として、分化抗原陰性分画を分離、凍結保存を行い、検体集積を継続している。また、急性白血病をはじめとする造血器腫瘍の臨床検体も、文書による同意を得て凍結保存を継続しており、次年度では、マウス内での疾患再構築と、幹細胞分画の同定を進めていく予定であり、研究計画はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度では、BRGSKとBRGhSを交配し、次世代PDXモデルの完成形であるBRGhSKの樹立し、このラインの拡大を行ってきた。Kit変異マウスが生殖能を欠くため、ヘテロマウスでの維持となるため、完成型のマウス樹立の効率が悪く、マウスコロニーの拡大には時間を要している。次年度も引き続き、ラインの拡大は継続するが、同時に、新規に樹立したBRGSKマウスの胚凍結による保存も行い、ラインの維持の確保を行っていく。 今後は、これまでのPDXモデルで疾患再構築が困難であった骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の検体から臨床病態の変化に伴い経時的にがん幹細胞亜分画を純化し、BRGhSKマウスを用いた機能解析を生体内で行い、各亜分画の病態進展における役割を明らかにする。当科には、文書による同意を得て凍結保存されている臨床検体が豊富にあり、現在も、臨床検体の集積を継続してる。また、他のグループと検体の共同利用を進めており、臨床情報を有する多数の検体をもって、上記の解析にあたる予定である。さらに、MPN/MDS幹細胞の純化・同定を進め、生体内がん幹細胞活性、分化能解析、遺伝子変異解析、トランスクリプトーム解析、エピゲノム解析などを行い、各亜群の機能的差異や、各クローンの階層性、連関と、臨床経過を照らし合わせることで、遺伝子変異や代謝変化がクローン進化に果たす役割を明らかにし、治療標的分子の網羅的解析を行っていく。最終的には、「完全マクロファージ寛容」「骨髄ニッチのオープン化」導入により、マウス環境を改変した次世代患者組織移植モデルを開発し、あらゆる疾患を再現可能な全般的疾患再現モデル 構築によって、腫瘍性幹細胞純化・創薬開発の支援基盤構築を目指している。
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Research Products
(11 results)