2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reveal of the pathogenesis of MPO-ANCA-associated vasculitis and development of novel therapeutic strategies
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21H02958
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石津 明洋 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (60321957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益田 紗季子 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (10763617)
外丸 詩野 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20360901)
中沢 大悟 北海道大学, 大学病院, 助教 (60724135)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗原固相 / 免疫複合体 / DNase I抵抗性NETs / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
①MPO-ANCAはどのように好中球を活性化するのかについて、TNF-αでプライミングした好中球に液相または抗原固相により免疫複合体を形成した状態でMPO-ANCAを反応させ、好中球細胞外トラップ(NETs)の形成と細胞内シグナル分子のリン酸化を指標として好中球の活性化を評価した。その結果、どちらの場合もMPO-ANCAはNETsを誘導したが、抗原固相により免疫複合体を形成した状態で好中球に反応させた場合にシグナル分子がリン酸化されることを確認した。 ②MPO-ANCAにより誘導されるNETsに血管炎惹起性はあるかについて、MPO-ANCA誘導モデルの病変糸球体にNETsの沈着があることを証明した。 ③MPO-ANCA関連血管炎(MPO-AAV)におけるNETs除去障害の原因は何かについて、MPO-AAVの肺病変部に認められたDNase I抵抗性NETsと結核の肺病変部に認められたDNase I感受性NETs、そしてin vitroで誘導したDNase I感受性あるいは抵抗性NETsを用いてプロテオーム解析を行った。NETsにDNase I抵抗性をもたらす候補タンパク18種を抽出し、これらのリコンビナントタンパクをNETs誘導時に添加したところ、5つのタンパクで通常のNETsではなく類円形のDNase I抵抗性NETsが形成された。さらに、そのうちの一つのタンパクに対する阻害抗体をNETs誘導時に加えると、類円形NETsおよび通常型NETsの形成が抑制された。 これらの知見に基づき、MPO-AAVの病態形成機序に即した分子標的治療を開発するため、前臨床試験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①MPO-ANCAはどのように好中球を活性化するのかについて、細胞表面に表出したMPOにANCAが結合するのが重要なのか、ANCAのFc部分が好中球表面のFc受容体に結合するのが重要なのか、明らかにすることを試みた。どちらの場合もMPO-ANCAは好中球細胞外トラップ(NETs)を誘導したが、細胞内シグナル分子のリン酸化は後者の場合でのみ観察された。前者の結合に際し、MPOに会合する分子は未同定である。 ②MPO-ANCAにより誘導されるNETsに血管炎惹起性はあるかについて、MPO-ANCA誘導モデルの病変糸球体にNETsの沈着があることを証明した。これは、MPO-ANCAにより誘導されるNETsの血管炎惹起性を示す傍証となりうるが、MPO-ANCAにより誘導されるNETsの血管炎惹起性を直接証明するには至っていない。 ③MPO-ANCA関連血管炎(MPO-AAV)におけるNETs除去障害の原因は何かについて、NETsに分解抵抗性を付与するタンパクとして5つの候補に絞り込み、そのうちの1つについてはその活性を確認した。 これらの知見に基づき、MPO-AAVの病態形成機序に即した分子標的治療を開発するため、前臨床試験を開始しており、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
①MPO-ANCAはどのように好中球を活性化するのかについて、細胞表面に表出したMPOにANCAが結合するのが重要なのか、ANCAのFc部分が好中球表面のFc受容体に結合するのが重要なのか、明らかにすることを試みた。どちらの場合もMPO-ANCAは好中球細胞外トラップ(NETs)を誘導したが、細胞内シグナル分子のリン酸化は後者の場合でのみ観察された。今後、同シグナル分子のリン酸化阻害がNETs形成を抑制するか明らかにする。また、前者の結合に際し、MPOに会合する分子の同定を目指す。 ②MPO-ANCAにより誘導されるNETsに血管炎惹起性はあるかについて、MPO-ANCAにより誘導されるNETsの血管炎惹起性を直接証明する試験を計画し、実施する。 ③MPO-ANCA関連血管炎(MPO-AAV)におけるNETs除去障害の原因は何かについて、NETsに分解抵抗性を付与するタンパクとして5つの候補に絞り込み、そのうちの1つについてはその活性を確認した。残りの4つについても、阻害抗体を用いてその活性を確認する。 さらに、これらの解析により得られたMPO-AAVの病態形成分子を標的とした新規治療を開発するため、前臨床試験を推進する。
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