2021 Fiscal Year Annual Research Report
Single cell analysis of TCR genotypes of CTL at recovery phase of acute Dengue infection
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21H02969
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (60189868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 修作 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (00508971)
グエン フイティエン 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 准教授 (20457526)
谷本 幸介 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (60611613)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デング熱 / 細胞障害性T細胞 / T細胞受容体 / シングルセル解析 / 急性期 / 回復期 / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
具体的内容 デング熱は熱帯地域を中心に世界各地で感染者が増加する蚊媒介性のウイルス感染症である。ウイルスには4つの血清型が存在し、血清型の異なるウイルスには再感染することが知られており、その際にはより症状が重い重症型デング熱となる。重症化のメカニズムとしては、抗体依存性ウイルス感染増強現象が挙げられるが、それ以外にもサイトカインストームや細胞性免疫の異常などが疑われている。本研究では、急性期の患者の末梢血に現れるウイルス反応性の細胞障害性T細胞に焦点を絞り、感染の初期、回復期、安定期の3つのステージでの末梢血中のウイルス特異的なCD8陽性メモリーT細胞の動態をシングルセル解析法を用いて解析する。デング熱患者はフィリピンの熱帯医学研究所RITMの病院を受診した12歳以上の小児を対象とし、3つの時期にそれぞれ20ccのヘパリン血採血を行い、末梢血単核球を分離し凍結保存する。これを長崎大学の熱研において、目的のT細胞分画に精製後シングルセルに分離し、mRNA発現解析を行い、T細胞レセプターおよび活性化マーカー遺伝子により、各時期の分画解析を行う。コロナの流行により、デング患者のリクルートは困難を極めたが、一年遅れで計画したサンプル数の凍結単核球を準備することができた。現在これらから染色体DNAを分離し、患者のHLAクラス1のタイピングを行っている。意義と重要性 フィリピン人に多いHLA型を選択し、複数の共通するタイプを有する患者の発現分析により、デングに特有の反応性を発見することで、病態解析のためのCD8T細胞分画やそのクローナリティーについての治験を集積し、重症化の防御に有効なT細胞反応の特徴を明らかにすることができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的内容 患者のリクルートが最も困難で、特にコロナ流行時期には、デング患者が激減したことが大きく影響した。しかし令和4年には、デングの流行が見られ、大幅に遅れはしたが、ほぼ計画通りの患者数を確保することができた。令和5年度は最終年なので、シングルセル解析を加速し、データ解析および論文化を進める。ヒト感染の際の細胞障害性T細胞の末梢血での動態を経時的に観察するのは世界での類がなく、免疫記憶のメカニズムについての新たな治験が得られると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
具体的内容 すでにシングルセル解析のための準備実験が進行中であり、フィリピンからの凍結細胞の運搬の手続きが完了し次第、採取した19名の患者のサンプルから、6名を選択して発現解析を行う。実験のための試薬、機器類、解析プログラムなどに問題はなく、予定した期間内の執行に支障はない。
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