2021 Fiscal Year Annual Research Report
カーボネイトアパタイトの高い骨伝導能・骨再生能を細胞の分子メカニズムから解明する
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21H03139
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
工藤 景子 徳島大学, 病院, 講師 (70380029)
秋田 和也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (70876028)
栗尾 奈愛 徳島大学, 病院, 講師 (80622141)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カーボネイトアパタイト / ハイドロキシアパタイト / 骨伝導 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,表面粗さや表面形状がほぼ同じハイドロキシアパタイトとカーボネイトアパタイトを作製し,この上で骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)および骨髄幹細胞を培養,遺伝子およびmiRNAの発現変化をマイクロアレイにて解析し、カーボネイトアパタイトの優れた骨伝導、骨新生の分子メカニズムを検索する。 表面粗さや表面形状がほぼ同じで、材質だけが異なるカーボネイトアパタイトとハイドロキシアパタイト試料の作製を試みた。まず炭酸カルシウム粉末を油圧プレス機で一軸加圧成型し、350℃の炭酸ガス循環下で焼結することで炭酸カルシウムディスクを作製した。作製したディスクをリン酸水素ナトリウム水溶液に浸漬することで、溶解析出反応を利用して炭酸アパタイトに組成変換させた。次にハイドロキシアパタイトを同様に一軸加圧成型し、焼結する温度を変化させることで、表面性状を変化させ、カーボネイトアパタイトと表面粗さが同じディスクの作製に成功した。この表面性状が同じディスクを用いて培養実験を行った。直径15mm、厚み1mmのカーボネイトアパタイト、ハイドロキシアパタイトディスク上で骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)を6時間培養した後、Trizol(Invitrogen)によりtotal RNAを回収した。材質の違いによるMC3T3-E1細胞の遺伝子およびmiRNAの発現変化をマイクロアレイ解析している。今後はカーボネイトアパタイトの骨伝導能・骨再生能の分子メカニズムを検索していく。さらに、in vivoでの検証実験と共に、解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
表面粗さおよび表面形状がほぼ同じで、材質だけが異なるディスク状試料の作製を試みた。当初はハイドロキシアパタイトディスクを作製し、溶解析出反応を利用して、そのディスク表面にカーボネイトアパタイトを析出、コーティングすることで同形状のディスク作製を検討した。しかし、析出したカーボネイトアパタイト層と元のハイドロキシアパタイト層の表面性状は一致しなかったため、作成方法を変更した。 まずカーボネイトアパタイトディスクを作製し、その表面性状と一致するハイドロキシアパタイトディスクを作製する方法を探索した。炭酸カルシウム粉末を油圧プレス機で一軸加圧成型し、350℃で焼結することで炭酸カルシウムディスクを作製した。作製したディスクをリン酸水素ナトリウム水溶液に浸漬することで、溶解析出反応を利用して炭酸アパタイトに組成変換させた。次にハイドロキシアパタイトを同様に一軸加圧成型し、焼結する温度を変化させることで、表面性状を変化させ、カーボネイトアパタイトと表面粗さがほぼ同じディスクの作製に成功した。 続いて表面性状が同じディスクを用いて培養実験を行った。直径15mm、厚み1mmのカーボネイトアパタイト、ハイドロキシアパタイトディスク上で骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)を6時間培養した後、Trizol(Invitrogen)によりtotal RNAを回収した。材質の違いによるMC3T3-E1細胞の遺伝子およびmiRNAの発現変化をマイクロアレイ解析している。遺伝子発現変化の網羅的解析はtoal RNAを逆転写してcDNAを作製後、Agilent社製mouse cDNAマイクロアレイキットを用い、miRNAの発現変化の解析はAgilent社製mouse miRNAマイクロアレイキットを用いて解析している。また併せて同様の方法でβ-TCPのディスクも作製、培養実験を行い、マイクロアレイ解析を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
発現変化のあった候補遺伝子および候補miRNAを文献的に検索し、miRNAの標的とする遺伝子をTargetSca xnなどの公開データーベースを用いて予測する。さらに、ingenuity pathway analysis(IPA)を用いて生物学的な機能の解釈やネットーワーク/パスウェイ解析を行う。候補遺伝子は、total RNAをTaqMan cDNA Reverse Transcription (RT) Kit(Applied Biosystems)により逆転写し、ABI PRISM 7000 Sequence Detection SystemとTaqMan Gene Expression AssaysによるリアルタイムPCR法にて発現を確認する。候補miRNAは、TaqMan MicroRNA Reverse Transcription (RT) Kit(Applied Biosystems)で逆転写し、ABI PRISM 7000 Sequence Detection SystemとTaqMan MicroRNA AssaysによるリアルタイムPCR法にて発現を確認する。さらに、12、24時間培養した試料の発現も確認する。また、ヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSC-BM)でも解析する。 また、材質だけが異なるカーボネイトアパタイトとハイドロキシアパタイト試料を用いて動物実験を行い、骨伝導能、骨再生能を検証、評価する予定である。
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Research Products
(9 results)