2022 Fiscal Year Annual Research Report
Toll様受容体7シグナルに着目したIgG4関連疾患の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21H03141
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森山 雅文 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20452774)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新納 宏昭 九州大学, 医学研究院, 教授 (20380636)
柴田 琢磨 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30554505)
中村 誠司 九州大学, 歯学研究院, 特任教授 (60189040)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | IgG4関連疾患 / Toll様受容体7 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の研究を行った。 <Toll 様受容体7(TLR7)刺激によるM2 マクロファージの線維化の機序解明 -in vitro-> IgG4関連疾患 (IgG4-related disease: IgG4-RD)は、高IgG4血症と罹患臓器への著明なIgG4陽性形質細胞の浸潤や線維化を特徴とする全身性疾患である。近年、IgG4-RDの病態形成にヘルパーT細胞などの獲得免疫だけではなく、自然免疫も発症に関与していることが指摘されている。我々の過去の研究でも、自然免疫に重要な病原体センサーであるTLR7に注目し、TLR7陽性M2マクロファージ(Mφ)が罹患臓器に多数浸潤していることを報告してきた(Furukawa S, et al. Sci Rep 2017)。しかし、TLR7がどのように病態に関与しているかはいまだ不明であったため、今年度の研究では、TLR7を介した線維化の機序解明を目的に、PBMCからTLR7陽性M2マクロファージを抽出し、TLR7アゴニスト(R848)刺激により、その作用機序について検討を行った。 まず、real-time PCRによる細胞内のTLR7 下流分子のmRNA量およびELISAによる培養上清中の炎症性サイトカイン(IL-33、IL-1β、TGF-β)の濃度の測定を行った。これらのサイトカインは線維化を促進することが知られている。その結果、刺激群において無刺激群と比較しIRAK4、NFkBのmRNAの有意な発現上昇を認め、培養上清中のIL-33、IL-1β、TGF-βの濃度も有意に高かった。さらに、これらの培養上清と線維芽細胞(MRC-5)との共培養を行い、XTT assayにて増殖能を検討したが、刺激した培養上清を用いた群では線維芽細胞の有意な増殖・活性化を認めた。 以上の結果より、病変局所に浸潤するCD163陽性M2マクロファージは、TLR7/IRAK4/NFκBシグナルを介して、炎症性サイトカイン(IL-33、IL-1β、TGF-β)を産生し、IgG4-RDの特徴的な線維化を促進していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの解析はほぼ終了しており、順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はM2マクロファージと線維芽細胞との共培養実験モデルを確立して、M2マクロファージが実際にTLR7を介して線維化に関与しているかを検討する。 自然免疫の病原体認識センサーである Toll 様受容体7(TLR7)は、一本鎖 RNA を認識するが、その核酸代謝産物であるヌクレオシドで活性化することが分かっている。これまで外因性のTLR7アゴニストの1つであるR848を用いてマウスの刺激実験を行ってきたが、今後の研究ではヌクレオシドトランスポーターの SLC29A3 に着目し、その欠損マウスを樹立することで、リボソーム内にヌクレオシドが蓄積して内因性にTLR7 の恒常的な活性化するモデルを確立し、表現型を検討する。
|