2021 Fiscal Year Annual Research Report
機能ゲノミクス解析とハイスループット解析を用いた線維性異形成症新規治療法開発
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21H03146
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
東 俊文 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00222612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片倉 朗 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10233743)
長山 和亮 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10359763)
村川 泰裕 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (50765469)
野村 武史 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (60328268)
中村 貴 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80431948)
溝口 利英 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (90329475)
間 奈津子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90615379)
齋藤 暁子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90722835)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 線維性骨異形成症 / iPS細胞 / 遺伝性稀少疾患 / 骨芽細胞分化誘導 / FGFG2 / McCuneAlbright 症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はGorlin症候群とMcCuneAlbright(MAS)症候群/線維性異形成症(FD)、各々の疾患特異的iPS細胞を作製し、①MASで恒常的活性化/cAMP上昇とHedgehog経路の極端な抑制の結果、骨成熟抑制・骨石灰化抑制が生じる。②MAS(GANSR201H)由来iPS細胞(GANSR201H -iPS細胞)にHedgehog刺激を加えると石灰化が正常化することを報告した(業績14,図1)本成果を基盤とし、ゲノム機能解析、ハイスループット解析、遺伝子改変動物開発を用い、①FDモデルマウス開発 ②GNASR201H -iPS細胞由来骨芽細胞分化過程のシングルセル解析、③骨芽細胞分化抑制にかかわる新規non-coding RNA同定と遺伝子治療応用、④薬剤ライブラリーを応用したDrug Repositioning,⑤治療候補薬作用メカニズムの網羅的解析と最適薬剤同定 ⑥治療薬候補を疾患モデルマウスに投与し最適投与方法決定、等の研究を通じてFD病態を解明しFD新規治療法(遺伝子治療法、薬物治療法)を開発する。 ①GNASR201H骨芽細胞分化はSAGまたはSAG以外の物質により正常化されるか。②その薬剤はHedgehogを活性化するか否か。を核心をなす学術的“問い”とした。 (2)本研究の目的および学術的独自性と創造性 本申請計画では開発したMAS/FD疾患特異的iPS細胞を使用し、シングルセル解析により対象細胞(特定の細胞種で特定の分化段階にある細胞)を明確化しハイスループット解析・次世代シーケンス解析を併用しすべての解析薬剤の作用メカニズムを網羅的に解明できる。またGNASR201Hモデル動物を開発しin vivoでも効果を確認していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
McCuneAlbright 症候群 本疾患はguanine nucleotide binding protein alpha stimulating activity polypeptide 1 (GNAS)遺伝子点変異によるGNAS経路過剰が原因となり、皮膚カフェオレ斑、線維性骨異形成症、ゴナドトロピン非依存性思春期早発症を三主徴とする疾患群である。骨病変はGNAS情報過剰による石灰化不全と未成熟骨化である。本疾患遺伝子変異はGNAS遺伝子点変異であることから、正常iPS細胞に遺伝子編集技術を用いMcCuneAlbright 症候群原因遺伝子変異(R201H)を作製した。本遺伝子変異はしばしば良性腫瘍発生と密接な関係があることが指摘され、膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm)や胃腺腫に好発することが知られる。そこで 本疾患iPS細胞作製後、免疫不全マウスに疾患特異的iPS細胞を移植して奇形種を作製し奇形種内嚢胞状構造の形態学的、免疫組織化学的検討を行った。その結果、上皮サイトケラチン(CK18)およびムチン発現の低下と CEA、CA19-9発現上昇が特徴的に認められることを明らかとした。また McCuneAlbright症候群は骨病変として線維性骨異形成症が認められ未成熟で低石灰化を呈する。 本疾患iPS細胞でも通常の分化誘導方法では石灰化が抑制いることを示した。さらに機序として GNAS活性化がHedghehog経路を抑制し ひいてはWnt経路を抑制することが重要であることを発見した。 i) Apert症候群 本疾患は遺伝子解析ではFGFR2 exson7の変異が高率に認められ、FGFR関連頭蓋骨縫合早期癒合症候群の代表的疾患でもある。本疾患iPS細胞を作製し 骨芽細胞分化誘導を検討したところ、遺伝子解析ではFGFR2 exson7の変異が高率に認められ、FGFR関連頭蓋骨縫合早期癒合症候群の代表的疾患でもある。FGF情報経路上昇にともなう 増殖優位が発生するとともに この時同時にメカニカルストレスが加わると特に石灰化が亢進することが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝性McCuneAlbright症候群iPS細胞および 遺伝性McAlbright マウスを利用し 骨芽細胞未成熟機序の解明と治療法開発をすすめる。
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