2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌叢と生活習慣病・認知症・うつ病発症に関する地域コホート研究：久山町研究
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21H03200
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 哲也 九州大学, 医学研究院, 教授 (10173014)
秦 淳 九州大学, 医学研究院, 准教授 (00448432)
小原 知之 九州大学, 大学病院, 講師 (20623630)
柴田 舞欧 九州大学, 医学研究院, 助教 (20734982)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 疫学研究 / 腸内細菌叢 / 生活習慣病 / 認知症 / うつ病 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会を迎えたわが国では、生活習慣病、認知症、うつ病の増加が、日本人の健康長寿を妨げる要因となっている。近年、腸内細菌叢組成が生活習慣病やメンタルヘルスに影響を及ぼすことを示唆する報告が散見されるようになり、腸内環境とヒトの健康との関連に注目が集まっている。本研究では、福岡県糟屋郡久山町の地域住民を対象とした前向きコホート研究の成績を用いて、ヒト腸内細菌叢と生活習慣病（心血管病を含む）・認知症・うつ病との関係を横断的および縦断的に検討する。
2021年度は、2017-2018年度に久山町生活習慣病健診を受診した40歳以上の住民1,648人の糞便サンプルを用いて、対象者個々の腸内細菌（Taxonomy）の同定を行った。さらに、対象者の腸内細菌叢のパターンを基に4群に分類し、各腸内細菌叢パターンと生活習慣病との関係を横断的に検討した。その結果、Bifidobacterium属の割合が低く、Megamonas属が高い群では、高血圧、肥満、メタボリックシンドロームを有するリスク（多変量調整後）が有意に高かった。
また、2021年度は、2017-18年に収集した65歳以上の高齢者に実施した頭部MRI検査画像データを整備した。次年度は、腸内細菌叢パターンと認知症やうつ病と関係深い脳部位である海馬や扁桃体、前頭前皮質、島皮質などの脳領域別容積との関係を横断的に検討する。さらに調査対象者の生活習慣病、認知症、うつ病の発症の追跡調査を実施した。今後追跡調査のデータ整備を行い、腸内細菌叢と生活習慣病、認知症、うつ病の発症の関係を縦断的に解析する予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、2021年度までに2017-18年度に福岡県久山町の住民健診を受診した40歳以上の住民1,648人から収集した糞便サンプルより細菌DNAを抽出し、イルミナMiSeqを用いて細菌の16S rDNA内のV4可変領域の配列情報を取得し、得られた配列のホモロジー解析から各サンプルにおける腸内細菌（Taxonomy）の同定を完了した。これらのデータを用いてWard法により求めた腸内細菌叢のパターンを基に、対象者を4つのクラスタに分類し、高血圧、糖尿病、肥満、脂質代謝異常、慢性腎臓病、心電図異常、メタボリックシンドローム（MetS)の各生活習慣病を有するリスクを横断的に検討した。その結果、クラスタ2群に比べ、クラスタ１群では、高血圧、肥満、MetSを有するリスク（多変量調整後）が高かった。また、グラム陰性桿菌の菌体成分であるlipopolysaccharideへの曝露の指標である血清lipopolysaccharide結合蛋白（LBP）濃度を群間で比較したところ、クラスタ１群は、クラスタ2群に比べ、血清LBP濃度の平均値（多変量調整後）は有意に高かった（13.1 μg/ml 対 12.5 μg/ml, p＜0.05）。
続いて、各クラスタ群における細菌属の割合を比較した。その結果、クラスタ2群に比べ、クラスタ１群はBacteroides属とBifidobacterium属、Lactobacillus属の割合が低く、Prevotella属とMegamonas属が高かった。そこで、各細菌属と各生活習慣病との関係を検討したところ、Bifidobacterium属の割合の上昇に伴い、高血圧、肥満、MetSを有するリスクは有意に低下し、Megamonas属の割合の上昇に伴い肥満、MetSを有するリスクは有意に上昇した。
さらに、研究対象者の追跡調査を継続した。
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度は以下の内容を実施することにより、生活習慣病・認知症・うつ病発症におけるヒト腸内細菌叢の役割を明らかにする。
①2021年度は、2017-18年に収集した65歳以上の高齢者に実施した加えて頭部MRI検査画像データを用いて、腸内細菌叢パターンと認知症やうつ病と関係深い脳部位である海馬や扁桃体、前頭前皮質、島皮質などの脳領域別容積との関係を横断的に検討する。
②2021年度に実施した腸内細菌叢と生活習慣病との関係に関する横断的な解析を継続する。
③2022年度以降も、前年度と同様に生活習慣病、心血管病、認知症、うつ病発症の追跡調査を継続し、追跡データの整備を行う。
④研究結果については、学会発表や論文化を行う。さらに、研究成果を住民へフィードバックし、啓発活動を行う。
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Research Products
(1 results)
