2021 Fiscal Year Annual Research Report
先端的分子生物学的手法による日焼け止め剤の造礁性サンゴの白化に及ぼす影響評価
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21H03619
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹内 一郎 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (30212020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
治多 伸介 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (60218659)
山城 秀之 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (80341676)
石橋 弘志 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (90403857)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サンゴ / 日焼け止め剤 / 白化 / 毒性評価実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、下記の1)から3)の研究を実施した。 1) 紫外線吸収剤の微量分析方法の開発. 液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計(LC/MS/MS)等によりオキシベンゾン等の紫外線吸収剤のng/Lレベルでの高感度の微量分析方法を確立した。本分析方法を用い、3.のミドリイシ属サンゴの毒性影響実験の飼育海水を分析した。 2) ミドリイシ属サンゴの長期飼育方法の開発. 2021年度は、ほとんどの期間、コロナ渦が継続していたため、沖縄県から愛媛県へのサンゴの輸送等が困難な時期が長かった。そこで、大型のアクリル水槽等を購入し、ミドリイシ属サンゴの飼育設備を増強した。また、定期的な栄養塩濃度測定等を行い、ミドリイシ属サンゴの飼育に適した飼育環境の維持に勤めた。観賞用等に市販されているミドリイシ属サンゴを購入し、本飼育設備により馴致飼育を行い、2週間の温度耐性に関する長期実験を行った。その結果、観賞用等のミドリイシ属サンゴを用いても実験が可能になった。 3) オキシベンゾンのミドリイシ属サンゴへの毒性影響の検討. 養殖ウスエダミドリイシAcropora tenuisを27.5℃下で、0 μg/L、50 μg/L、500μg/Lのオキシベンゾン濃度で1週間の曝露実験を行った。実験期間中、サンゴをデジタルカメラで撮影し、サンゴ体色のRGB値の変動パターンを解析した。また、共生する褐虫藻の光合成収率を測定した。その結果、オキシベンゾンの最大濃度でもウスエダミドリイシは白化しなかった。また、濃度上昇によるサンゴ体色と光合成収率の変化の有意な変動も確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、ほぼ、一年にわたりコロナ渦が続いていたため、沖縄県等の愛媛県外への長期出張は困難であった。そのため、実施計画に記載したサンゴ礁及び隣接海域における紫外線吸収剤濃度の調査を実施することができなかった。 一方、大型アクリル水槽等を購入し、愛媛大学でのミドリイシ属サンゴの飼育設備を増強した。同設備を用いて、観賞用等に市販されているミドリイシ属サンゴを用いた毒性評価実験が可能となった。 以上より、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の計画どおり、2022・2023年度は、主に、下記の研究を実施する予定である。 1. 紫外線拡散剤等の環境中濃度の計測方法の開発 2. 紫外線吸収剤や紫外線拡散剤等のサンゴ礁域及び隣接海域の環境中濃度の計測 3. 酸化チタン等の紫外線拡散剤のミドリイシ属サンゴ主要種への毒性影響の検討 4. オキシベンゾン等の紫外線吸収剤及び酸化チタン等の紫外線拡散剤へ曝露したミドリイシ属サンゴの次世代シーケンサーを用い網羅的遺伝子解析 4.の解析は、ミドリイシ属サンゴ及びサンゴに共生する褐虫藻の双方を対象に実施する予定である。以上より、日焼け止め剤のサンゴへの影響を解明する。
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