2021 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Studies on Inclusiveness and Exclusiveness of Sharing of Technologies in East African Small and Medium-sized Manufacturers
Project/Area Number |
21H03706
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 基樹 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (30273808)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手上 和代 明治学院大学, 国際学部, 講師 (00838435)
町北 朋洋 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70377042)
福西 隆弘 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター, 主任調査研究員 (80450526)
山田 肖子 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(国際), 教授 (90377143)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 集積地 / ソファ製造 / 金属加工 / 革靴製造 / ケニア / ナイロビ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、コロナ禍のために、調査対象国である東アフリカのケニア・ウガンダ・エチオピアに渡航することがかなわなかった。そこで、研究代表者・分担者の過去の経験と、文献調査等を通じて調査対象を絞り、その調査対象について必要事項を調べることに専念した。研究代表者である高橋基樹はケニア・ナイロビにおけるソファ製造業を対象とし、分担者である井手上和代は同じくナイロビにおける金属加工業を対象とすることとした。さらに高橋は大学院生への指導の経験がある、エチオピア・アジスアベバの革靴製造業についても対象とした。そして、これらに関わる新たな文献の収集やウエブサイトの検索を通じて東アフリカへ実際に渡航しなくとも、可能な限りこれらの対象産業の技術とその情報に関わる知見を増やし、また研究上の課題についての整理を行った。その結果、技術共有に関わる重要な要素として職業訓練に注目すべきことを確認した。 そして、185万円を2022年度に繰り越して、同年度に持ち越して、実際の渡航なしには確かめられない調査研究項目の仕分けを行った。 2022年度に21年度から持ち越した予算185万円を用いた調査では、21年度に調査対象として特定しておいた産業のうち、ケニア・ナイロビのソファ製造業について集中した現地調査を行い、ナイロビには、同じソファを作るが、対象とする主な顧客の所得層が異なる複数の集積地があることを確認した。その上で、高所得層を主な顧客とする集積地と低所得層を主な顧客とする集積地とを比較した。結果として、前者では製品のデザインの差別化が著しく、したがって技術情報の共有の閉鎖性がうかがえるのに対して、後者ではデザインが相当程度事業者間で共有されており、開放性があることが推測できるという結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度には、コロナ禍により、調査対象地域である東アフリカ諸国等に、現地調査のため赴くことができなかった。しかし、その分時間をかけて文献調査等を進めることができた。その成果を踏まえ、21年度の予算の繰り越し分を用いた22年度の、ケニアのナイロビにおける調査で、深層面接を通じたソファ製造事業者への詳細な聞き取りをすることができた。それを通じて、同じソファ製造業であっても、集積地の状況、特に顧客の所得層の相違によって、製品のデザインという最も重要な技術情報の一つの共有のあり方が異なる、適切な事例を見つけることができた。この知見に基づいて、集積地ごとに異なる状況を、技術共有が開放的か、閉鎖的かを規定する条件を特定することができる可能性を見出すことができた。これによって、2021年度からの繰り越し分の予算を用いることによって、当初2021年度中に片付ける予定としていた課題をクリアすることができた。その意味で、21年度には研究が順調に進捗していると結論づけることができる。、
|
Strategy for Future Research Activity |
繰り越した予算185万円をも含めて2021年度の予算を用いた調査で、適切な調査対象として特定されたケニア・ナイロビのソファ製造とその異なる集積地の調査を深めて、新ためて事業者間の技術共有の開放性・閉鎖性における集積地ごとの違いをたしかめる。そのことによって他の事例、すなわち、21年度中の文献調査を通じて対象とするのが特定された、他の製造業部門、すなわちエチオピア・アディスアベバの革靴製造業、ケニア・ナイロビの金属加工業についても同様の調査を進めて、業種を越えて当てはめることのできる、上記の開放性・閉鎖性に影響を与える条件の析出を進めていく。エチオピア・アディスアベバの皮具製造業については、これを専門の研究対象とし、用いられている技術情報について知悉している研究者を新たに分担者に加えることによって、より詳細で精密な調査研究が行えるようにする。
|