2021 Fiscal Year Annual Research Report
シン・パレオゲノミクスが創る博物館資料群活用の新展開
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21H04358
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松前 ひろみ 東海大学, 医学部, 助教 (00735681)
金原 正明 奈良教育大学, 理科教育講座, 教授 (10335466)
本橋 慶一 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (10527542)
岡崎 健治 鳥取大学, 医学部, 助教 (10632937)
中込 滋樹 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (40625208)
石谷 孔司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40826062)
細川 正人 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (60722981)
和久 大介 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教 (60793578)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | パレオゲノミクス / シングルセル / 古人骨 / 絶滅動物 / 植物標本 / 寄生虫卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、分析対象となる遺跡出土人骨(富山県小竹貝塚出土人骨)、博物館標本(真菌類・植物寄生菌類・ニホンカワウソ)および遺跡堆積物を現地でサンプリングを実施した。サンプリングした資料は人骨班・剥製標本班・菌類標本班・微化石標本班に別れてシングルセル解析のためのターゲット細胞分取の条件検討を進めた。シングルセル解析の条件検討を進めるために、各班においてターゲット細胞・組織を迅速に分取する体制を整えるために、班ごとにピッキング装置(FBS-1000(フロンティアバイオシステムズ)2台を金沢大学及び東京農業大学に導入し、実際にターゲット細胞のピッキングを実験を行った。また、堆積物からの寄生虫卵サンプリングは、マニュアルでのサンプリングを進めた。条件検討において採取したターゲット細胞及び寄生虫卵は、全ゲノム増幅を用いたDNAライブラリ作成法もしくは既存のDNAライブラリ作成法で次世代シーケンサー用のライブラリを作成した後に、Miseq及びiSeq100を用いて内在DNA%(DNAライブラリにおけるターゲット生物由来DNAの存在率)を算出した。初年度はシングルセル解析の条件検討を主に実施し、高い内在DNA率を示す個体のライブラリが得られた。比較的保存状況が良かった人骨のDNAライブラリを用いてNova-seqを用いてゲノムデータを取得した。取得したゲノムデータは、ゲノム解析用サーバーを用いて既報のゲノムデータと合わせて集団ゲノム解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はサンプリングおよび細胞採取の条件検討を主に実施し、ゲノムデータ取得が可能なサンプルの探索を行う計画を立てていた。サンプリングの装置導入がやや遅れたが、金沢大学と東京農業大学で実際のサンプリングに着手でき、植物標本及び絶滅動物であるニホンカワウソを対象にしたサンプリングの条件検討ができた。一方、寄生虫卵からのゲノム解析では、従来の全ゲノム増幅法だと超低分子DNAの増幅が困難であることもわかってきた。このため、寄生虫卵のゲノム解析については条件検討にやや時間を要しているが、全体としては研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は現在進めている条件検討を引き続き進め、難ゲノム解析試料からのゲノムデータ取得を目指す。また、古人骨の側頭骨から採取した切片を対象に、RNAプローブを用いたin situ hybridizationの条件検討を進める。特にプローブ設計の検討が重要なことから、複数のヒト特異的配列をターゲットにしたプローブを用いる予定である。寄生虫卵のゲノム解析の条件検討では、低分子DNAからゲノムデータを取得するために新しい手法の応用を進める。
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