2021 Fiscal Year Annual Research Report
Interdisciplinary Research on the Scope of Protection and Prohibition in the International Society
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21H04389
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 淳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90285081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田所 昌幸 国際大学, 国際関係学研究科, 教授(移行) (10197395)
森 肇志 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (90292747)
塚原 弓 (西村弓) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50282512)
藤澤 巌 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (20375603)
竹内 真理 神戸大学, 法学研究科, 教授 (00346404)
伊藤 一頼 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00405143)
西本 健太郎 東北大学, 法学研究科, 教授 (50600227)
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30366976)
湯川 拓 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80728775)
湯澤 奈緒 (下谷内奈緒) 津田塾大学, 学芸学部, 講師 (20823884)
佐藤 俊輔 國學院大學, 法学部, 准教授 (40610291)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 国際政治 / 国際法 / 国際社会 / 保護 / 禁止 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際社会が設定する《保護・保全・禁止等の範囲》の起源、変容、そして帰結について、広域にして学際的な研究を行うことによって、国際秩序の変動についての学際的・俯瞰的な学知を構築することを目的とするものである。問題領域としては、保護・禁止等の空間的範囲(海洋秩序など)から、人的範囲(自決権、主権免除、難民など)、事項的範囲(不干渉原則、国際刑事犯罪、自衛権など)を想定している。 本共同研究の初年度にあたる当該年度において、新型コロナウィルス感染症拡大により、対面の全体会合を開くことができなかったのは残念であった。夏季休暇明けに、対面での会合開催は断念し、オンライン全体会合「国際社会におけるフォーカル・ポイントの模索」(10月10日)を開催して、研究代表者である石田淳が、T・シェリングの「フォーカル・ポイント」概念を用いて「歴史と法の中の同盟のディレンマ――casus foederis(条約適用事態)と事前協議」と題する報告を行い、国家間の行動調整について、特に同盟条約における共同防衛の発動要件(条約所定の地域――条約地域――における域外からの締約国への武力攻撃)を中心に国際政治学における知見の蓄積を概観し、それを研究組織全体で共有した。 また、国際政治学、国際法学の見地から学際的な研究を進めるにあたり、個々の分担者が、個別に、特定問題領域における国家間の利害調整の持つ特徴について、国際政治学、国際法それぞれの学術領域における知見の整理を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、問題領域ごとに《保護・禁止・保護の範囲》についてどのような利害調整が、関係主体の合意を基盤にいかに形成されたのかを、国際法学、ならびに国際政治学の観点から考察を行うとしつつ、その範囲についても空間的範囲、人的範囲、事項的範囲を考察の対象とするとして、研究組織内の役割分業の確認を行っている。それゆえに、各自の研究作業については順調に進んでいる。 コロナ禍については、研究の進捗に正負の影響をもつものだった。一方で、行動制限の中で発達したオンラインの研究機会(シンポジウム、ワークショップなど)を用いて、学術的な意見交換、情報共有などはできた。他方で、行動規制により、研究組織として対面での会合を開くことができなかったため、《保護・禁止・保護の範囲》についての国際的な利害調整をめぐる学際的な検討を行う機会を十分に持つことはできなかったのは事実である。 以上のような理由で、遅れのでている部分はあるものの、それを相殺すべく補完手段を講じているため、研究は全体としておおむね順調にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の末に勃発したロシア・ウクライナ戦争は、本共同研究の考察の対象となりうる重要な論点を含むものであった。たとえば、自衛権、自決権の範囲については、国際法学ならびに国際政治学においても、この戦争を機に、さまざまな検討が行われている。 本共同研究においても、ロシア・ウクライナ戦争を、国際社会における《保護・禁止・保護の範囲》という観点から再検討をする学術的な機会を持ちたい。 2022年度には、オンラインの研究会(駒場スピーカーシリーズ「ウクライナ戦争の意味」)を6回ほど企画・運営するなどして、議論の幅を広げ、共同研究を一段と活性化させたい。
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Research Products
(16 results)