2021 Fiscal Year Annual Research Report
多様な受験者の高度テスト配慮を実現したCBT環境の開発と教育テスト実施改善の研究
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21H04419
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
南谷 和範 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (90551474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 起夫 独立行政法人大学入試センター, 独立行政法人大学入試センター, 参与 (10203829)
渡辺 哲也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10342958)
苅田 知則 愛媛大学, 教育学部, 教授 (40363189)
永井 伸幸 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (50369310)
楠 敬太 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 特任研究員(常勤) (70770296)
寺尾 尚大 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (70827055)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | CBT / 入試配慮 / 障害者支援 / 支援技術 / IRT |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度(2021年度)は、5か年の研究プロジェクトである本研究の初年度となる。研究応募の段階から、今年度はコロナ禍により直接的な人的交流が大きく制約されることが予想された。そこで1年を通じて先行研究の渉猟や研究動向の把握を主たる課題とした。他方で、研究者間の対面打ち合わせや実験参加者を伴うモニター調査の推進には着手できなかった。2022年度に先送りした課題については、【現在までの進捗状況】中の理由に詳述する。 今年度の主たる課題を全体計画に位置付けて述べれば、主要3課題のうち第1課題(i)並びに第2課題(ii)推進の基盤整備となる。PDCAサイクルを2周することで着実な成果確保を目指す本研究の戦略に即していえば、今年度はサイクル1週目のP段階の終了と一部D段階の推進が大まかな目途となる。 (i)の「高度テスト配慮が実現したCAT型CBTシステム開発」については、研究に用いるベースシステムの選定を行った。コロナ禍は教育の強制的なオンライン化を引き起こし、その中で児童生徒全般、あるいは障害のある児童生徒のオンライン学習やそのICT活用、ICTを用いたテスト実施について課題の顕在化や新規のプロダクトを生むこととなった。これらは本研究に対する新たな課題とヒントをもたらすものであり、当初想定した先行研究や実装に加えてこれらの調査・分析も行った。 また、対面でのコミュニケーションが制約された一方で、課題を共有する研究者とのオンラインでの交流の機会を確保した。特に、CBTシステムの国際規格に通暁する村田真教授(慶應義塾大学)とは実際の出題システム構築・運用に踏み込んだディスカッションを重ね、今後の積極的な研究協力とプロジェクト体制構築について了解を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度終了段階においては、「(3)やや遅れている」状況に該当すると判断されたが、これらの特に予算繰り越しを伴う遅れは2022年度に解消し、2022年度終了段階では「(2)おおむね順調に進展している」と言える状況にある。 当初より2021年度はコロナ禍により直接的な人的交流が大きく制約されることが予想された。そこで1年を通じて先行研究の渉猟や研究動向の把握を主たる課題としたが、開催が決定している国際会議での報告や研究動向の調査、随時進める研究推進のための人的ネットワーク構築については、実施課題を先送りして設定することはできないものであり、状況の推移を注視しつつ可能な範囲で行うこととした。しかしながら状況が許さず実施できなかった課題が発生した。これらについて特に予算繰り越しを発生させたものについて以下に個別に取り上げ2022年度においての問題解消の取り組みを述べる。 2021年度に予算の繰り越しを必要としたのは、いずれも新型コロナ感染症の蔓延防止に関わる諸対応の特に制度的な方針に起因する。具体的には、第1に計画した国際学会・展示会への参加が所属大学の海外渡航に関わる方針により不可能となったことであり、第2にモニター調査などで協力を求める高校教員並びに障害のある児童生徒との接触が関連教育機関の諸方針により制約されたためである。 第1について、Annual International Technology & Persons with Disabilities Conferenceに2021年度に引き続き開催された2023年3月の会議に参加し、支援技術についての国際的な研究動向と欧米での先進的な製品開発の状況を広く把握した。第2のモニター調査に関わる教育現場との接触・情報交換については、2022年度に随時行い、遅れを取り戻すとともに必要性が判明した教育支援ICT機器の評価を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の課題については、同年度中に当初より計画したものを推進したことに加え、予算の繰り越しを伴い積み残した課題についても2022年度中にそれらを完了した。そのため、現段階では2021年度の課題に起因する懸念事項は解消されたと考える。したがって、推進方策は2022年度報告書(様式C-7-1)の「今後の研究の推進方策」に示した2系統の不確定要素(出題システム開発とそのシステムで用いるアイテムバンクの整備に関わるもの、障害のある児童生徒を対象とするモニター調査の効率的実施)と同一となる。 あえて2021年の研究推進の経験から特に意識する点を指摘するのであれば、「研究実績の概要」で述べたコロナ禍による教育の強制的なオンライン化が、児童生徒全般、あるいは障害のある児童生徒のオンライン学習やそのICT活用、ICTを用いたテスト実施について課題の顕在化や新規のプロダクトを生んだという点について留意したい。 これらを本研究に対する新たな課題とヒントをもたらすものと受け止め、研究に取り込むことを引き続き心がける。
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Research Products
(9 results)