2021 Fiscal Year Annual Research Report
Why is the multiple zeta value so ubiquitous?
Project/Area Number |
21H04430
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 昌信 九州大学, 数理学研究院, 教授 (70202017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 泰生 東北大学, 理学研究科, 教授 (70330230)
古庄 英和 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60377976)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / 複シャッフル関係式 / 調和積 / 正規化基本定理 / 川島関係式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的概要は,数学や物理学の様々な分野に登場する多重ゼータ値について,その遍在性の理由の探求を,「複シャッフル現象の解明」という視点を中心に据えて研究を行うものである.その目的に向けて,代表者は,Ce Xu, 山本修司と共同で,多重ゼータ値の複シャッフル関係式の理解に欠かせない「正規化基本定理」を,フルヴィッツ型の多重ゼータ値に対して一般化し,その結果をもとに,川島関数に新しい光をあて,川島関係式の別証明を得た.これは川島が行った,ニュートン級数を使うものとは全く異なるものであり,より自然な枠組みで川島関係式を理解することが出来るようになった.このことはすなわち複シャッフル関係式から川島関係式を理解するということで,山本と先行して行った研究よりもさらに自然な見方を提供する.これは本研究課題の中心に関わる大きな進歩であると言える.その他にも,津村博文とのレベル付き多重ゼータ値,多重ベルヌーイ数,多重ゼータ関数,多重対数関数の研究を推進し,レベル4について新たな知見を得た. 分担者古庄は,Benjamin Enriquez と共同で,多重ゼータ値の調和積の双対写像である,調和余積の Betti 類似を構成した.これも本研究課題を推進する重要な研究成果である.また分担者大野は,佐々木義卓と共同で,多重ベルヌーイ数とその拡張の満たす様々な漸化式や公式を与えた.さらに,多重ゼータ値の関係式を超幾何関数との関わりに注目して理解しなおし,併せて制限和公式が,特定のケースの大野関係式のインデックスの読み替えであることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重ゼータ値の大きな関係式のクラスである川島関係式を,正規化基本定理と結びつけて理解することができ,目的の達成に向けて順調な出発を切ることが出来ている.また,幾何的描像と結びつきにくい調和積を幾何的に理解するための視点を提供する結果も得られたことなど,概ね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に沿って,研究目的である「複シャッフル現象の解明」を主軸に据えつつ,申請書に記載した三つの副目的(I)モチビック-アデリック描像の深化, (II) q-化,楕円化による理解の深化と広角化, (III) 母関数を通した超幾何からのフィードバック,に沿って着実に研究を遂行していく. 対面での研究打合せや研究集会がようやく開けるようになってきている.さまざまな機会を活用し研究推進に資するとともに,若手育成に努める.
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Research Products
(12 results)