2021 Fiscal Year Annual Research Report
超大規模計算と超高精度観測で解き明かすブラックホールジェットの駆動機構と多様性
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21H04488
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大須賀 健 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (90386508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 和弘 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 助教 (60724458)
當真 賢二 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (70729011)
高橋 博之 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (80613405)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | ブラックホール / ジェット / 降着円盤 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラックホール降着円盤と、そこから噴出するジェットの一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションを実施した。ここでは、多様なブラックホール天体のうち、特に光度の大きな天体をターゲットとしている。ブラックホールのスピンパラメータを変えたシミュレーションを実行した結果、スピンパラメータが大きいほどエネルギー変換効率が高いという結果を得た。特に、ポインティングフラックスによるエネルギー放出が、ブラックホールスピンに強く依存することがわかった。無回転ブラックホールの場合、降着円盤は主に輻射でエネルギーを失うが、高速回転するブラックホールの場合、ポインティングフラックスによるエネルギー放出が、輻射によるエネルギー放出を超える。これはブランドフォード・ナエック機構によって、ブラックホールの回転エネルギーが磁場を介して引き抜かれているためと解釈できる。ブランドフォード・ナエック機構が、高光度降着円盤でも有効に働くことを実証したのは本研究が世界で初めてである。 また、輻射場を高い精度で算出するタイプの一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションを実施し、近似法を導入した従来のシミュレーションと結果を比較した。その結果、円盤の回転軸付近で輻射場が大きく異なることがわかった。高精度なシミュレーションで得られた輻射場は比較的等方であるが、近似法を駆使したシミュレーションでは、円盤に垂直な方向に輻射が流れやすいことが分かった。近似を用いた従来の計算法でも、円盤や円盤風の大まかな構造を知ることはできるが、ジェットの加速など、回転軸近傍の現象を正確に解くには精度の高い新たなシミュレーションが必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界降着円盤のシミュレーションは、これまで盛んに実施されてきたが、ほとんどの研究が無回転ブラックホールを対象としたものであり、回転するブラックホール周囲の研究はまだまだ不十分であった。我々は、回転するブラックホール周囲の超臨界降着円盤のシミュレーションを実行することで、超臨界降着円盤およびアウトフローの構造やダイナミクスのブラックホールスピン依存性を世界で初めて明らかにした。低光度降着円盤については多くの研究グループによって調べられているが、高光度円盤をシステマティックに調査したのは本課題が初である。 また、新規に開発した一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションコードによる大規模数値シミュレーションにも成功し、従来の計算法を定量的に検証することにも成功した。新規コードの最適化も順調に進んでおり、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた超大規模シミュレーションを実施する目処が立った。 成果は既に論文として出版されており(Utsumi et al. 2023, Asahina et al. 2022)、多くの研究会で成果発表を行った。したがって、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高光度降着円盤とそこから発せられるジェットの一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションを実施し、ブラックホー ルのスピン依存性についてさらに調査する。これまではブラックホール近傍の磁場が比較的弱い状況について調べてきたが、今後は強磁場の状況について調査をすすめる。強磁場の場合と弱磁場の場合の違いを明らかにし、ブラックホール天体の多様性に磁場強度がどう関係しているのかを明らかにする。 また、ブラックホールのスピン軸と降着円盤の回転軸が一致していない状況での一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションを実施し、降着円盤の歳差運動について調べる。ジェットの方向が周期的に変わる現象や、X線光度の準周期的振動と、円盤の歳差運動が関係しているのか否かを明らかにする。 これらと並行して、二温度の一般相対論的磁気流体計算コードの開発も行なう。機械学習やGPUを用いて、計算コードの効率を向上させる。シミュレーションは大須賀(代表者)と髙橋(分担者)が行い 、理論モデルとの比較を當真(分担者)が行う。疑似観測の結果と実際の観測データの比較を秦(分担者)が担当する。
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[Journal Article] The Photon Ring in M87*2022
Author(s)
Broderick, A. E., Pesce, D. W., Gold, R., incl. Hada, K., et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 935
Pages: 61~61
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] ブラックホール降着円盤 およびガス噴出流の理論;これまでの進展と今後の課題2022
Author(s)
大須賀健 , 髙橋博之 , 川島朋尚 , 野村真理子 , 北木孝明 , 水本岬希 , 嶺重慎 , 朝比奈雄太 , 小川拓未 , 荻原大樹 , 井上壮大 , 内海碧人 , 高橋幹弥 , 尾形絵梨花 , 武者野拓也 都丸亮太
Organizer
Galaxy-IGM workshop 2022
Invited
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[Presentation] Numerical Simulations of Accretion Flows and Outflows around Black Holes/Neutron Stars2021
Author(s)
K. OHSUGA, A. Inoue, A. Utsumi, T. Ogawa, Y. Asahina, H.R.Takahashi, T. Kawashima, M. Nomura, M. Mizumoto, R. Tomaru, C. Done
Organizer
European Astronomical Anuual Meeting SS3 :Black holes under the magnifying glass of XRISM and Athena
Int'l Joint Research / Invited
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