2022 Fiscal Year Annual Research Report
太陽系外から飛来する未知の天体の探査に向けた中性粒子・イオン質量分析器の開発
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21H04509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠原 慧 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00550500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 勝一郎 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40435798)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | イオン質量分析 / フライバイ探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題の先にある最終的なゴールは,太陽系外から地球近傍に飛来する恒星間天体を人類として初めて直接探査し,系外惑星系の組成を詳細に解析して「太陽系はどれくらい特別な(あるいはありふれた)世界なのか?」という問いに答えることである.東京大学およびJAXAの工学系研究者との議論では,恒星間天体を超小型探査機でフライバイ観測する現実的な探査シナリオが得られている.しかしながら,最大の問題は,天体の組成分析を行う上で肝心かなめの質量分析器の準備が出来ていないことである.本研究では,これまで地球,月,水星,火星の探査に向けて開発してきた宇宙機搭載用のイオン・電子分析器のヘリテージを生かして,小天体近傍の主成分である中性ガス分子・原子をフライバイ探査で分析できる新たな質量分析器の開発を目的としている. 2022年度予算では,イオン質量分析器に使用する高電圧生成回路基板とアンプ基板を設計・製作した.高電圧はイオンのエネルギー分析および質量分析に使用するものであり,最高+/-5kVの高速掃引(0から5kVまで3ms以内に遷移)が必要である.CubeSatにも搭載可能な小型サイズで設計・製造し,実機でその性能を確認した.また,アンプ基板はイオンの信号を検出する回路を有するものである.これについても小型のサイズで設計・製造した.実機にテストパルス信号を入力し,信号が10倍に正しく増幅されていること,(検出タイミングの高精度計測のための)コンスタントフラクションディスクリミネータの回路が正しく働いていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
半導体製品不足により回路基板の部品納入が翌年度まで遅延した.これに伴い,基板製造に遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の開発によりイオン質量分析器の回路部分についてはめどが立った.今後はセンサ部の開発に注力する.特に,天体の放出するダスト中を高速フライバイする際に必要なシールドの設計や,質量分析部の性能向上(炭素薄膜を新素材にすることで感度・分解能を向上させる)などを進める.
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