2022 Fiscal Year Annual Research Report
Decoding oxygenation hisotory of the Earth via isotopologue analysis of sulfate
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21H04513
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上野 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90422542)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 元素循環 / 酸素 / 硫黄 / 二重置換同位体分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫酸同位体分子計測の精度低下を引き起こす要因を調査した結果、SiF4およびCClF4の二種が妨害分子として計測に影響を与えていることが特定された。これらの妨害分子は真空ライン内部の汚染が原因となってフッ化の際に微量ながら形成されるものであるため、フッ化真空ラインのバルブ等部品交換を順次行った。また、二種の妨害分子が影響を与える場合には、d18OとD34S18O値の間にそれぞれ特有の相関をもつ偏差を与えることから、計測値の補正法を考案すると同時に、多段階GC精製によってそれらの影響を排除できることが明らかになった。これらの分析法についてはTechnical Noteとして公表予定であり、その原稿を投稿した。 一方、これまでに行った予察的硫酸同位体分析の結果、原生代中期の硫酸塩が高い二重置換度を示し、これが報告されている硫酸D17O値の低下と同期することが明らかになった。この経年変化の要因は今後明らかにされるが、高い二重置換度はいくつかの河川水硫酸の特徴と類似するため、大陸の酸化的風化による河川水硫酸フラックスの変動と関係しているとする作業仮説を得た。これら成果の一部については2022年5月末に開催されたInternational Isotopomer Symosiumにおいて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に分析前処理装置の劣化が判明し、そのため研究計画に遅延が生じたが、その要因の特定がなされたため、改善の方向に進んでいる。また、当初計画ではリース契約であった高質量分解能質量分析計を購入することで分析法の改善が柔軟に行うことができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
硫酸同位体分子計測の精度低下を引き起こす要因については多段階GC精製によって改善が可能だが、その行程には多くの時間を要する。多数の試料を計測してスループットを向上させる目的で、引き続き分析法の改善を行う。また、硫酸二重置換度の変動についてその要因が特定されつつあるため、仮説の実証に特化した実証実験の計画をさらに具体化し、実行する。
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Research Products
(9 results)