2021 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Access Time-Space Control Platform of Human Motion
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21H04566
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桂 誠一郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00401779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 浩志 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70318070)
板口 典弘 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (50706637)
村松 久圭 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (20874465)
梅野 和也 常葉大学, 健康科学部, 講師 (30783526)
山之内 亘 沼津工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30635305)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 抽象化理工学 / 人間支援 / データロボティクス / モーションコピーシステム / ヒューマンインタフェース / バイラテラルAI / 機能的電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、機能的電気刺激を用いた多自由度モーションコピーによる「人間動作のアクセス時空間」実現のための制御基盤を確立することを目的としており、本年度において次のような研究実績を得ることができた。 1. 「機能的電気刺激インタフェース」構築のための二自由度制御系の開発 機能的電気刺激を制御対象として二自由度制御系を構築するため、外乱オブザーバに基づく制御系の開発を行った。皮膚表面に貼付した電極に印加する電流入力に対応する関節応答をモデル化することで、ロバストな制御系を構築することに成功した。アウターループに位置制御系を構成した実験により、目標値追従特性と外乱抑圧特性を評価し、それぞれを独立に決定できることを確認した。 2. 「3次元動作センシングシステム」の開発 人間の手指による動作センシングにあたっては、指先と接触対象の間に物理的なセンサを設けると感触に影響を与えるため、直接的な計測ができない。そのため、筋電から指先力までの伝達関数を独自に開発した人工知能技術である「バイラテラルAI」を用いてモデル化し、間接的なセンシング手法の開発を行った。動作中の位置・速度を計測するモーションキャプチャシステムと統合し、非拘束型の動作センシングシステムの開発を行った。 なお、本年度において12回の研究ミーティングを開催し、研究代表者、分担者、協力者間での成果の共有、逐次確認を行い、工学、神経心理学、神経内科学の密な連携の下で研究を推進した。また上記の成果については、IEEEのジャーナルをはじめ、日本神経心理学会学術集会などの会議にて発表を行った。さらに、イノベーション・ジャパン2022、IIFES2022への出展を行い、得られた研究成果を広く公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「機能的電気刺激インタフェース」構築のための二自由度制御系として、外乱オブザーバに基づく独自の制御手法の開発に成功した。位置制御から力制御までロバストに実現できる本制御基盤は、「人間動作のアクセス時空間」の基本となるものである。さらに、「バイラテラルAI」により上肢筋電から指先力のモデリングを行い、非拘束型の動作センシングシステムを構築した。これらの技術は、研究代表者が積み上げてきた「応用抽象化と総合デザイン」に関する方法論が基盤となっているばかりではなく、IIFES2022 大学・高専テクニカルアカデミー研究発表コンテスト 最優秀賞を受賞したことからも明らかなように、産業応用面での優位性も高く評価された。この高いレベルでの人間動作のセンシングからアクチュエーションの方法論を人間支援に応用することにより、構築されるシステムそのものも高性能化が見込まれ、当初の計画以上の成果が得られることが期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の2年目においては、機能的電気刺激のための二自由度制御系を多自由度に拡張することを目的とし、貼付する電極位置に対応する手指動作についてモデル化を進める。具体的には、手首と手指を独立して駆動するための電極配置の探索ならびに非干渉化が主な研究実施項目となる。筋肉の共収縮の利用も積極的に行い、発現される機能を増やす。 また、人間動作データの特徴量をフィードバック制御系に組み込み、支援動作を生成するための「動作特徴量空間制御器」について開発を行う。 最終的には、電気機器システムを直接人間の状態把握に応用するという方法論を一般化し、電気工学と神経心理学をつなぐための応用抽象化と総合デザインに関する学理を明らかにすることを目指す。
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