2021 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental understanding of polymer gels and sponges
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21H04688
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片島 拓弥 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20759188)
Li Xiang 北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (30759840)
作道 直幸 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (50635555)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 高分子ゲル / スポンジ / 相分離 / 物質拡散 / レオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲルやスポンジなどの含水性高分子網目材料は、生体組織と類似の構造・物性を有し、材料科学的にも生体材料応用を目指す上でも興味深い材料である。その一方で、両者には、網目サイズや内包する水との相溶性など、相違点も多く存在する。 本研究では、「ゲルとスポンジの類似性と特異性」を明らかにし、ゲルとスポンジを繋ぐ横断的な学理を確立することを目的とする。申請者が世界で初めて確立した、同一の成分組成からゲルとスポンジを作り分ける手法を用い、ゲル、スポンジ、ゲル・スポンジ中間物質を系統的に作製し、構造・物性を網羅的に測定・解析することで分野横断的な体系化を試みる。 初年度は、ゲルとスポンジが作り分けられる条件を明らかにするために、高分子の濃度と特定の塩濃度をパラメータとして相図の作製を行った。ゲル化・スポンジ化過程の構造形成の速度論を共焦点顕微鏡および小角X線散乱を用いて、評価した。さらに低濃度領域におけるスポンジ化は、ゲル化反応に伴う濃度ゆらぎの増大、およびパーコレーションに伴う弾性発現をきっかけに相分離が起こることが明らかになった。この結果は、ゲル化より長い時間スケールで、希薄・濃厚なゲル相に分離する極めて特異的な現象であることを実験的に明らかにした。さらに粗視化シミュレーションモデルを用いることで、散乱実験の結果をメゾスケール構造単位で再現でき、分子論的な描像を明らかにした。 また、in vivo実験では生理活性モチーフを必要とせずに、生体内で脂肪の成長を誘導することが観察され、スポンジ構造を有するゲルの再生足場バイオマテリアルへの応用の礎となる結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、ゲルとスポンジをわける相図の作成に成功した。さらに、顕微鏡、散乱実験、シミュレーションを用いて相分離の機序解明がなされつつある。これらの結果はすでに論文としてまとめ投稿され、現在査読対応中であり、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、作製したゲル・スポンジ中間物質群 について、線形力学応答および浸透圧の評価を行うことで、マクロな物性の観点からのゲルとスポンジの類似性・特異性について評価を行い、その特異性について抽出する。
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Research Products
(55 results)