2022 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症ヒト脳オルガノイドの表現解析による病態の基礎的理解
Project/Area Number |
21H04813
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内匠 透 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00222092)
|
Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
Keywords | 自閉症 / ES細胞 / コピー数多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症は社会性の障害に代表される発達障害であり、その発症にはコピー数多型(CNV)等の遺伝的寄与が示唆されている。我々は世界に先駆けてCNVの自閉症ヒト型モデルマウス、また自閉症細胞モデル(Autism in a dish)として、独自に開発した次世代染色体工学を用いて網羅的マウス胚性幹(ES)細胞ライブラリーを構築した。本研究では、ヒトES細胞モデルを用いて、神経をはじめとする2次元培養並びに3次元オルガノイド脳培養を組み合わせて、分子、形態から機能に至る多面的な解析を取り入れることにより、ヒト病態の総合的理解を得る。本成果は、自閉症を含む精神疾患の病態パスウェイやハブ遺伝子などの創薬シーズに繋がるだけでなく、CNVの発現制御機構の解明というゲノム異常の基盤的理解をもたらす。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム編集技術を利用した次世代染色体工学的手法を用いて、1q21.1欠失、重複CNVを有するヒトES細胞モデルを作製した。ヒトES細胞をNPCオルガノイドに分化させ、形態的特徴を観察した。培養27日目には、1q欠失及び重複NPCオルガノイドは、CTRLと比較して、それぞれ有意に小さくまたは大きくなり、臨床データ(小頭症、大頭症)と一致する結果が得られた。NPCオルガノイドにおける重複・欠損のサイズ差は、各細胞のサイズではなく、オルガノイド内の細胞数に起因するものであった。1q21.1CNVが分化パターンと遺伝子発現プロファイルに影響を与えるかどうかを、免疫組織化学及びRT-qPCRによって調べた。NPCオルガノイド培養27日目に、1q欠失オルガノイドはTBR2及びTUBBのシグナル強度が最も高かったが、1q重複はいずれもほとんどシグナルを示さなかった。58日目には、TBR2とCTIP2の両方の発現が1q重複で低くなっていた。これらから、1q欠失では神経細胞の成熟が促進され、1q重複ではNPC段階から成熟が減速していることがわかった。ヒトES細胞モデル由来の2次元神経細胞の自発的な電気活動を、多電極アレイを用いて検討した。1q21.1CNV神経細胞は、興奮性の高い電気的特性を示した。27日目のNPCオルガノイドを用いて単一細胞RNA配列解析を行った。32,171個の細胞(1q欠失; 10,682, 1q重複; 11,987, CTRL; 9,502)対して、マーカー遺伝子の発現パターンに基づき、8つのクラスターを設定した。GABA作動性細胞がほぼ1q欠失由来であったことは、成熟レベルの違いを示していると考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒトSE細胞モデルのシングルセルRNA-seqのデータを用いて、GO(Gene Ontology)、パスウェイ、ネットワーク解析といったバイオインフォマティクス解析から、モデルのバイオマーカーの同定、さらに神経細胞における創薬のターゲットの同定を行う。また、シングルセルRNA-seq解析では遺伝子発現パターンに応じ、細胞種を同定し、その後コントロール、CNVの比較から細胞種毎の遺伝子発現パターンを同定し、各細胞種の疾患特異的バイオマーカーを同定するとともに、細胞種特異的創薬ターゲットの同定を試みる。また発達期を追ってサンプリングする事で、ヒト胎児期を含む発達に伴う時間的変動の把握にも挑戦する(in vitro 胎児脳発達系)
|
-
-
-
-
-
[Journal Article] mTOR-AKT Signaling in Cellular Clock Resetting Triggered by Osmotic Stress2022
Author(s)
Yoshitane H, Imamura K, Okubo T, Otobe Y, Kawakami S, Ito S, Takumi T, Hattori K, Naguro I, Ichijo H, Fukada Y
-
Journal Title
Antioxid Redox Signal
Volume: 37
Pages: 631-646
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] A common epigenetic mechanism across different cellular origins underlies systemic immune dysregulation in an idiopathic autism mouse model2022
Author(s)
Lin CW, Septyaningtrias DE, Chao HW, Konda M, Atarashi K, Takeshita K, Tamada K, Nomura J, Sasagawa Y, Tanaka K, Nikaido I, Honda K, McHugh TJ, Takumi T
-
Journal Title
Mol Psychiatry
Volume: 27
Pages: 3343-3354
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Species-specific formation of paraspeckles in intestinal epithelium revealed by characterization of NEAT1 in naked mole-rat.2022
Author(s)
Yamada A, Toya H, Tanahashi M, Kurihara M, Mito M, Iwasaki S, Kurosaka S, Takumi T, Fox A, Kawamura Y, Miura K, Nakagawa S
-
Journal Title
RNA
Volume: 28
Pages: 1128-1143
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-