2022 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of artificial genetic system with acyclic artificial nucleic acids and application to evolutionary molecular engineering
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21H05025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅沼 浩之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20282577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 直人 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60509727)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Keywords | 人工核酸 / Pre-RNA world / 化学ライゲーション / SNA / L-aTNA |
Outline of Annual Research Achievements |
L-aTNAの複製と同様にL-aTNAのランダム配列プールを使用して、17-merの鋳型DNA鎖およびRNA鎖のL-aTNA鎖への逆転写を検討した。DNAを鋳型鎖に用いた場合は、L-aTNA 4 merのランダム配列プールを用い16 merのDNA鋳型鎖と8 merのL-aTNAプライマーで逆転写を実現した。一方RNAを鋳型に用いた場合は、L-aTNAの複製と同じ3-merのランダム配列プールでL-aTNAへの逆転写を実現した。 DNAを鋳型鎖に用いてDNA鎖の非酵素的ライゲーションを検討した結果、Mn2+よりCd2+, Co2+, Ni2+など、イミダゾールと強く相互作用する金属イオンの方がライゲーション活性の向上が顕著であった。Cd2+で最適化したところ、酵素(リガーゼ)に匹敵する活性が得られた。さらに反応速度論解析から、CNImによるリン酸の活性化が律速段階であることが判明した。その解析を基にL-aTNA鎖のプライマー伸長反応を再検討し、伸長方向をこれまでの逆の1’→3‘にしてCd2+を使用することで、29merのL-aTNA鋳型鎖を4℃4時間で80%以上の収率で得られた。 前年度配列既知の10 merのSNAに対して相補配列を持つDNAを、そのランダムプールから釣り上げられることを示した。そこで更に長い20 merのSNAを釣り上げる方法を検討した。その結果、中央に配列既知の2 merを挿入してランダマイズしたDNA 10merを使用すれば、20 merのSNAに対して10 merずつ分割して相補的なDNAが釣れることが判った。 前年度開始する予定だったL-aTNA鎖のサーマルサイクルによる自己複製を検討した。まずは16 merのL-aTNA鋳型鎖に相補的な2つの8 merのL-aTNAフラグメントの連結反応がサーマルサイクルで自己増幅可能か検討した。鋳型鎖に対してプライマーとフラグメント鎖を過剰に加え、連結反応(2h, 25℃)→加熱(94℃)→急冷(0℃)というサイクルを回したところ、サイクル毎に連結産物の増加が観察され、4サイクル後は鋳型鎖に対して150%の収率で連結産物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度コロナのため検討できなかったL-aTNAの線形増幅を、令和4年度に計画していた研究を全て達成した上、さらに思いがけずリガーゼに匹敵するDNAの非酵素的ライゲーションを実現したので、当初の計画以上に進展したと判断した。具体的な進捗状況を以下に示す。 (1)L-aTNAの線形増幅: 鋳型鎖に対してプライマーとフラグメント鎖を過剰に加え、連結反応(2h, 25℃)→加熱(94℃)→急冷(0℃)というサイクルを回したところ、サイクル毎に連結産物の増加が観察され、4サイクル後は鋳型鎖に対して150%の収率で連結産物が得られた。(2)DNA(RNA)→L-aTNAへの非酵素的逆転写: L-aTNA 4 merのランダム配列プールを用い16 merのDNA鋳型鎖と8 merのL-aTNAプライマーで15(w/v)%のPEG6000存在下で連結反応を行ったところ、4℃24時間で完全長のL-aTNA鎖が収率30%で逆転写産物が得られた。一方鋳型鎖をRNAに代えたところ、さらに高効率(収率59%)で逆転写産物が得られた。(3)L-aTNA→DNAへの配列転写:20 mer程度の長いSNAの配列をDNA配列に転写する高効率な手法を開発した。(4)DNAの化学ライゲーション:Mn2+よりもCd2+, Co2+, Ni2+などイミダゾールと強く相互作用する金属イオンを用いることで、酵素に匹敵する非酵素的ライゲーションを実現した。(5)長鎖L-aTNAのプライマー伸長反応:化学ライゲーションの機構解明結果を基に、金属イオンにCd2+を用い、ライゲーションの方向をこれまでの逆の1’→3’に代えたところ、29 merのL-aTNA鎖を4℃4時間で80%以上の収率を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果と研究計画に基づき、以下の方針で研究を推進する。 1)L-aTNA鎖の自己増幅:前年度線形増幅を実現したので、PCRと同様の指数関数的増幅システムを構築する。具体的にはに示すように、増幅したい鋳型二重鎖(例えば12merの二重鎖)に対して、それぞれに対応する(逆)プライマー鎖(例えば6 mer、2種類)とフラグメント鎖(例えば3 mer、4種類)を用意する。プライマー鎖とフラグメント鎖は過剰に加え、PCRと同様に加熱・急冷(ヒートショック)・連結反応を繰り返すことで指数関数的増幅を目指す。 2)金属錯体化による連結反応の高速化:二価金属イオンにCd2+に使用するだけでも10倍近く連結反応が促進されたが、他にもCo2+, Ni2+などイミダゾールとの錯形成しやすい金属ほど活性の向上が見られた。そこでイミダゾールを用いた配位子を検討する。配位子のイミダゾールがBrCNとの反応でCNImが中間体として生成することを期待し、CNImの代わりにBrCNを使用する。高活性化が可能なリガンドが得られた場合には、L-aTNA鎖の自己増幅、逆転写にも応用する。 3)L-aTNA→DNAへの配列転写:L-aTNAアプタマー取得に向けて、ストレプトアビジン修飾磁気ビーズを使わず全て水溶液中で行えるL-aTNA→DNA配列転写法も検討する。これが実現すれば、磁気ビーズに非特異的吸着したDNAの誤検出を回避することができる。
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Research Products
(54 results)