2021 Fiscal Year Research-status Report
The Development and Influence of Catholicism in the History of Moder Japanese Thought
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21K00097
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
加藤 和哉 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (00243618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋笠 勝士 岡山県立大学, デザイン学部, 特任教授 (10208738)
長野 美香 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (10272733)
桑原 直巳 筑波大学, 人文社会系(名誉教授), 名誉教授 (20178156)
島田 由紀 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (20817142)
田中 久文 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (30197412)
上石 学 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (70349166)
山田 庄太郎 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (80781939)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 岩下壮一 / 吉満義彦 / カトリシズム / 中世哲学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたり、研究目的、研究計画の確認をすすめつつ、予定していた調査研究に着手した。 共同研究については、研究分担者との会合以外に、以下の2回の研究会を実施した。第1回研究会(2021年12月27日 オンライン開催)においては、黒住真氏(東京大学名誉教授)を講師に迎え、「近代日本思想史におけるカトリック思想の展開とその影響」と題する研究発表をお伺いした。近代日本思想史全体の見取り図の中で、キリスト教、カトリック思想をどのように位置づけることが出来るかについての包括的なパースペクティブが与えられた。特に、近代日本の哲学の主流における教父・中世哲学・神学の軽視、その中で展開された大西祝、波多野精一、岩下壮一、九鬼周造などの神学・宗教哲学の業績についての知見が得られた。第2回研究会(2022年3月23日 オンライン開催)においては、阿部善彦氏(立教大学教授)を講師に迎え、「吉満義彦とカトリシズムの 問題―1937 年以降の著述活動を中心に―」の表題で研究発表をお願いした。無教会からカトリックに転じ、文字通り岩下壮一の片腕として著述活動や教育にあたった吉満義彦が、特に1937年以降戦時下体制のもと国策へ対応を迫られるカトリック教会にあって、「霊性の優位」を掲げた意義。またその教え子から多くの修道者やカトリック研究者が出たことで、戦後のカトリック世界をささえるものとなったことが明らかになった。 資料調査においては①岩下壮一の留学時代の日記の内容の精査と翻刻、②カトリック東京大司教区の所蔵する岩下関連資料の実地調査(2021年9月10日、13日、12月20日、2022年3月28日)を行い、所属資料の整理と確認を実施し、リストを作成した。③本学所蔵の「岩下文庫」(岩下家からの贈書籍)の目録の確認と精査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症の拡大が落ち着かない中、対面での研究会合は困難であったが、オンラインでの研究会を実施することで、進捗に大きな問題はなかった。東京大司教区の所蔵する岩下関係資料については、不完全な目録しかなく、すべてを確認する必要があり、予想以上に時間と労力を要したが、結果として大きな成果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画どおりに実施することとしている。今年度においては、引き続き資料の調査を進めながら、内容の精査、検討をさらに進めたい。また、共同研究の面では、明治から昭和初期のカトリック教会の動向、プロテスタント諸教会の動向にも目配りしつつ、これらと日本の近代思想をつなぐ様々なリンクを一つ一つ確認していくこととする。
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Causes of Carryover |
調査研究のうち、本学図書館資料(岩下文庫)の研究について、当初の見込みより、予備調査、調査にあたる人員の確保等、調査体制の確立に時間を要したことで、今年度は予定より進捗しなかったため、関係の人件費等に残が生じた。 次年度においては、調査体制を強化することにより、岩下文庫の調査は当該年度中に終了する予定である。また、あわせて東京大司教区所蔵の資料についても、資料の委託を受けて調査研究を行うことで合意を得ているので、調査を進めたい。
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