2023 Fiscal Year Annual Research Report
刀装金工における金属接合法の研究ー継承されなかった技法の解明ー
Project/Area Number |
21K00207
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
相原 健作 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 専門研究員 (50376894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 一敏 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20141989) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化財 / 金属工芸 / 技術 / 金 / 接合 / 刀 / 刀装金具 / 銅 |
Outline of Annual Research Achievements |
アマルガム鍍金の技術熟練者からの聞き取り調査などを参考にし、加熱する温度、金アマルガムを金属に塗布してから加熱するまでの時間などを変えて、銅同士の接合実験を実施し、ボールシェアテストにて接合強度の評価をおこなった。接合試料は厚み1.2㎜、10×10㎜の銅板の基盤と、厚み1.5㎜、3×3㎜の銅板とした。接合面に硝酸水銀を塗った後に、金アマルガムを塗布し、熱源はガスバーナーとした。接合温度に関しては、アマルガム鍍金接合を実施するブース内での温度計測が困難であり、研究代表者の感覚的なものとする。 その結果、〇加熱する温度は着色技法としてのアマルガム鍍金をおこなう温度より低温で加熱することが有効であった。〇金アマルガムを塗布してから接合(加熱)するまでの時間は、塗布した直後より時間をあけた方が有効であった。これは、接合する銅に対して、塗布した金アマルガムがより拡散されたために、接合強度が高くなったと推測する。〇加熱により水銀が気化するので、逆ピンセットで固定したことが有効であった。接合部位に加圧を付与出来たことが接合強度を高めたと推測する。ボールシェアテストでは、50Nを超える接合強度を計測し、アマルガム鍍金での接合が可能であったことを実証出来た。 昨年、X線CTにより明らかになった角棒の端部の断面に四等分の切れ込みを入れたリベット留めの再現実験を実施した。今までのリベット接合よりも、少ない力で簡便に接合することが出来た。美観も損なわれず、精緻な造形の接合にはとても有効である。この技法は、文化財の修理に応用出来るものと考える。
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