2021 Fiscal Year Research-status Report
日本の科学技術リテラシー像構築の議論における「専門家」の政治性に関する研究
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21K00254
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
標葉 靖子 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (40713269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 思心 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90593046)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 科学技術リテラシー / 科学の不定性 / 「専門家」動員のあり方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「科学技術の智プロジェクト」での議論のダイナミクスを,市民の科学リテラシー涵養という社会的議論への科学の「専門家」の動員の在り方という視座から解体することで,当該プロジェクトがなぜ具体的な施策の実現に結びつけられなかったのか, その原因の一端を明らかにすることである.特に, 「専門家」の動員と運用に際して発露される科学者の政治性という視点から「科学技術の智プロジェクト」(2006-07年度)を批判的に考察することで, 市民の科学リテラシー涵養という社会的議論における科学の「専門家」の動員のあり方を示すことを目指す. このことはまた, 科学技術をめぐる社会的意思決定への多様なアクターの参加をめぐる「第三の波」論争のなかで繰り返し問われてきた, 「専門家とは何か」という問いかけに対しても, 部分的に答えを提供しうることが期待されるものである. 2021年度は、「科学技術の智プロジェクト」(評議会, 企画推進会議, 全体会議, 三者会議, 報告書作業部会, 定着化部会, 広報部会, 関連シンポジウム, および七つの専門部会), また関連する日本学術会議科学力増進分科会等の関連委員会の議事録を収集するとともに、計量テキスト分析を行うためのコーパスを作成した. また「科学リテラシーをもった日本人像」がどのような語られ方をするのかについてより多面的な考察を行うべく、東日本大震災ならびにCOVID-19に関してTwitterでなされた市民の科学リテラシーをめぐるツイートの収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計量テキスト分析において重要な資料収集、コーパス作成、データクリーニングが順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
近年の科学リテラシーに関わる理論研究や海外事例を参照しつつ、計量テキスト分析ならびに言説分析を進める. 「科学技術の智プロジェクト」及び関連委員会の議事録に関する各言説の解釈にあたっては, 関係者や当該分野の専門家へのインタビューも補足的に併用する.
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Causes of Carryover |
COVID-19の長期化の影響から研究打ち合わせや学会参加がオンラインとなったため、旅費計上分が未使用となったため繰り越しが発生した。次年度は状況が許す範囲で打ち合わせ等を対面で行う予定をしているが、引き続きオンラインとなった場合でも対応できるよう, オフライン/オンラインに関わらず活発かつスムーズなインタビューや打ち合わせを実施できる環境整備を行う(モニター, ホワイトボードなど)。
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