2021 Fiscal Year Research-status Report
岩国市に伝存する和漢古典籍の分類総合目録作成に関する研究
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21K00283
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
妹尾 好信 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (10171357)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 岩国学校教育資料館 / 「文書類」資料 / 分類目録 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、岩国市立岩国学校教育資料館が所蔵する和漢古典籍のうち、「文書類」に分類されている資料群の閲覧調査を中心に行った。これは、本研究申請時にはその存在を把握していなかったものである。「文書類」という分類名から、歴史資料である古文書の類であると思っていたのだが、実は、ほとんどが江戸後期から明治中期あたりに書写あるいは刊行された和漢の古典籍であることが判明したのである。同資料は、「教科書」資料を収めた同館2階の収蔵庫ではなく、別棟の収蔵庫に保管されている。年度初めから月1回のペースで同館に出かけ、約400点に及ぶ同資料の書誌調査を行うことにしたが、新型コロナウイルスによる感染症の流行拡大により、広島県にも緊急事態宣言が出されたり、まん延防止等特別措置が適用されたりすることが相次ぎ、県外への移動が制限されて思うように調査ができない時期が多かったのが残念なことであった。 それでも令和4年1月までに一通りの調査を終え、目録の作成に取りかかった。1月中旬から3月初旬までまん延防止等特別措置のため現地に出向いて調査済みの書誌事項を確認する作業ができなかったのには困ったが、3月中旬になって何とか確認に行くことができ、3月末日付けで刊行された『内海文化研究紀要』第50号に「岩国市立岩国学校教育資料館所蔵和古書分類目録―「文書類」資料の部―」として目録を掲載した。 これまで存在がほとんど知られていなかった資料類について、詳細な書誌情報を記載した目録を作成・公刊できたことは本年度の大きな研究成果であると言える。 なお、同館別棟の収蔵庫には「郷土資料」に分類された資料群もあり、多くは近代の洋装本であるが、わずかながら和本も含まれているので、それらの書誌調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時には存在を把握していなかった岩国市立学校教育資料館所蔵の「文書類」資料の書誌調査と分類目録の作成に1年を費やしたので、申請時に構想していた研究の進行計画からは遅れているけれども、本年度の研究を開始するに当たって、新たに見つかった「文書類」資料の調査と目録作成を今年度の課題としたので、ほぼ予定通りに進行したと言える。 新型コロナウイルスによる感染症の拡大により、県外への移動が制限される時期が何度もあり、思うように調査に出かけられなかったため、年度中に分類目録を作成するのにはかなりの困難があったが、結果的に何とか目録を完成させ公刊できたので、研究課題はおおむね順調に進んでいると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は岩国学校教育資料館の新出資料の調査と目録作成に費やしたが、これで本研究の対象となる資料は、すでに目録の存在する吉川史料館の所蔵資料約100点を除いてすべて調査を終えることができた。 令和4年度から、本格的に岩国市に伝存する和漢古典籍の分類総合目録の作成作業を始めることになる。令和4年度は、最も大きなコレクションである岩国徴古館所蔵の古典籍について分類目録化を行う予定である。「吉川家寄贈図書類」と「岩国徴古館資料」の二つに大別して作成することにする。合体して一つの目録にしてしまうことも検討したが、やはりそれぞれのコレクションの特性がわかるように別個に目録化する方がよいと判断した。分類作業には困難が伴うことが予想されるが、できるだけ多く現地に出かけて、資料の中身を確認しながら正確な分類に務めたい。
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Research Products
(1 results)