2022 Fiscal Year Research-status Report
岩国市に伝存する和漢古典籍の分類総合目録作成に関する研究
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21K00283
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
妹尾 好信 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (10171357)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 岩国学校教育資料館 / 「郷土図書」資料 / 分類目録 / 書名索引 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度に引き続き、岩国市立岩国学校教育資料館が所蔵する和漢古典籍のうち、「郷土図書」に分類される資料の閲覧調査を行った。第一収蔵庫に保管される「郷土図書」資料は多くが近代の洋装本や地図資料であるが、中には近世後期の写本や版本も存在することがわかったため、急遽調査を行うことにしたものである。結果的に写本・版本の点数は少なかったけれども、同館が所蔵する和漢古典籍の悉皆調査においては見逃すことのできない資料である。 これに加えて、2階の郷土資料展示室における展示ケース内に配置された図書類の中の写本・版本についても同様に調査を行い、書誌情報をデータ化した。 そして、上記の資料を合わせて、「岩国市立岩国学校教育資料館所蔵和漢書分類目録―「郷土図書」資料の部―」として目録を作成した。これによって、同館所蔵の和漢古典籍分類目録の作成は完了した。 続いて、同館所蔵和漢古典籍の書名索引を作成した。これまでに作成して発表した「教科書」「文書類」「郷土図書」各資料の分類目録に基づいた総合書名索引で、資料番号を併記することにより、書名索引だけで資料の出納が可能になるよう配慮した。 その他、分類目録「教科書」資料の部には掲載しなかった明治20年代以降の和綴じ教科書類についても書誌調査を行い、データを収集した。次年度に作成予定の総合目録にはそれらの資料も加える計画である。 また、岩国市中央図書館所蔵の和装図書についても分類を再検討し、古典籍の分類法による分類を行った。書名から内容がわかりにくい資料については、同図書館に出向いて再調査を行い、分類を確定した。これによって、分類目録に改編するためのデータが整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、次年度が最終年度となる。岩国市に伝存する和漢古典籍の分類総合目録の完成まであと1年となったが、今年度で調査対象資料の書誌データ収集は完了して、岩国市立学校教育資料館の所蔵資料については、資料群別の分類目録の作成と全資料の書名索引を完成させることができた。 岩国市中央図書館所蔵の和装図書についても、古典籍の分類法に基づく分類作業を進め、分類総合目録作成の準備が整いつつある。 最も点数が多い岩国徴古館所蔵資料についても、少しずつ分類の見直し作業を行っており、分類総合目録作成に向けて着々と準備が進んでいると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
分類総合目録の作成は、岩国市中央図書館、岩国徴古館、岩国市立岩国学校教育資料館という岩国市が設置・運営する3つの施設の蔵書をすべてひとつの目録にまとめるのではなく、それぞれの施設ごとの分類目録とし、書名索引の作成にあたって、3施設を併せた総合索引とすることにした。その方が各施設の蔵書の特色がよくわかり、かつ、書名索引を一覧することで複数の施設にまたがって所蔵されている書目の存在も明確に知られるからである。また、これまでに分割して発表してきた各施設の目録を活かせることができ、効率的に目録作成の作業を進めることができるからでもある。 2023年度は、最も点数の多い岩国徴古館所蔵資料の分類目録化を積極的に推進する。その際、同館が発行している「吉川家寄贈図書類目録」(平成4年11月発行)と「岩国徴古館資料目録」(平成8年3月発行)という2つの目録を母体として、2つに大別して目録化することにした。両資料群の由緒・由来が異なることを尊重する意味と、既存の目録を基準にする方が目録化作業の効率がよいからである。
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