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2023 Fiscal Year Research-status Report

近代初期イギリス演劇における基本的舞台道具の使用方法に関する総合的研究

Research Project

Project/Area Number 21K00338
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

市川 真理子  東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (80142785)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords劇場 / ステイジング / 舞台道具 / ト書き
Outline of Annual Research Achievements

本年度も、大別して、次の三つの営為から構成される研究を行った。1.劇テクストの調査・分析によるデータの収集、2.関連する諸研究の調査および研究、3.理論の構築、論考の作成。以下、それぞれについて順に記す。
1. 近代初期の演劇関係文書(現存する上演用台本等)や舞台への言及を含む文書や作品、劇テクスト自体などを調査対象として、問題解明のための証拠や手掛かりとなる情報や例の発見に努めた。本年度は、短期間ではあったがブリティッシュ・ライブラリーを訪れて、同図書館が所蔵するマニュスクリプト(当時の劇団が所有した上演用台本および劇場のプロット)の調査を行うことができた。その調査では、ブックキーパーが上演用台本やプロットを用意するにあたって書き加えたト書きを収集し、特に舞台道具に関するものは、その種類(椅子、テーブル、ベッド等)ごとに分類した。
2. 近代初期イギリス演劇および関連諸分野の研究動向を常に把握しながら研究を進めていくために、関連諸分野の調査および研究を行った。とりわけ、テクスト理論に関する研究からきわめて有益な示唆を得た。また、王政復古直後のステイジングに関する研究からも学ぶところが大きかった。
3.こうした調査を行いながら、森林のシーンが連続するような劇では舞台道具の藪などが舞台に運び込まれることがあった、という説に対して疑問を持った。(上で言及したト書きの収集において、そのような種類の舞台道具の搬入を指示するト書きは見つからなかった。)この問題に関しては、現在、構想をまとめつつある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上述のように、研究を遂行する中で、藪などの舞台道具の使用に関する説を再考することとなった。このような形で研究を進展させることができたのは、短期間ながらもブリティッシュ・ライブラリーで調査を行うことができたおかげである。
しかし、残念なことに、その後、同図書館が受けたサイバー攻撃などのため、さらなる調査をするために訪れる状況ではなくなってしまった。そのため、現物にあたってテクストの事実を確認することができないままになっている事例がいくつもある。

Strategy for Future Research Activity

下記の3種類の調査研究を行う。
(1)劇テクストの調査・分析によるデータ収集の継続:データの収集とその整理を続ける。可能な限り、オリジナルテクストに当たる。そのため、ブリティッシュ・ライブラリーやフォルジャー・シェイクスピア・ライブラリーなどの研究図書館での調査を行う。
(2)関連する諸研究の調査および研究の継続:近代初期イギリス演劇および関連諸分野の研究動向を常に把握しながら、研究を進めて行く。劇場研究、上演研究、劇団研究、書誌学等は当然ながら、劇作品の現行諸版本の調査も必要である。
(3)研究成果の発表:これまでの研究および調査を整理しながら論考をまとめる。学術雑誌に投稿したりして、オリジナル・ステイジングや関連諸分野の研究者たちのリヴューを得ることができるようにする。

Causes of Carryover

本年度になってようやく海外渡航が可能となったが、ブリティッシュ・ライブラリーは大規模なサイバー攻撃を受け、本年度後半はそこで効率よく研究を行うことがほとんど不可能な状況になってしまった。またフォルジャー・シェイクスピア図書館は建替え工事を行っていたが完成が遅れている。そのような事情で、海外での研究調査を予定していたような形で行うことができなかった。そのため次年度使用額が生じた。
しかし、ブリティッシュ・ライブラリーの状況は改善しつつあり、またフォルジャー・シェイクスピア図書館の完成および再開も間近いようである。これらの図書館での調査は必須なので、次年度使用額はその調査のために有益に使用するつもりである。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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