2021 Fiscal Year Research-status Report
戦、金、愛─エクトール・マロの大人向け作品における近代社会とその犠牲者たちの描写
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21K00433
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
梅澤 礼 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (50748978)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エクトール・マロ / 犯罪 / 金銭問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度前期は、エクトール・マロの『青い血』における金銭の描写を中心に分析を行なった。 夏季休暇中には、フランス国立図書館が所蔵するル・タン紙とシエクル紙をもとに連載期間と連載のリズムを確認するとともに、マロ友の会に入会し、マロの子孫であり『エクトール・マロとノルマンディー散歩』(1994)や『心広い作家エクトール・マロ』(2000)の著者でもあるアニェス=トマ・マルヴィルとの面会を実現させる予定であったが、いずれも感染症の拡大により渡仏できずかなわなかった。 後期にはアメリカで行われた19世紀フランス学会にオンラインで参加し、犯罪と文学について発表した。また、日本フランス語フランス文学会中部支部大会で、マロについての口頭発表を行なった。そのほか、雑誌『ふらんす』で、マロについての連載を行い、成果を一般にも発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症の拡大により、夏季休暇中に予定されていたフランス国立図書館での調査およびフランス人研究者との意見交換が果たせなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年後前期は国内でマロ作品の分析を進めるほか、カナダ仏文学会で文学と閉所恐怖症についての発表を行う。 夏季休暇中にはフランス国立図書館で、1883年1月からシエクル紙に掲載されたマロの『貧乏人』と、12月からイリュストラシオン紙でアンドレ・トゥリエが連載を開始した『オーレリー叔母さん』(1884)を、両作家がともにモデルにしたネール夫人の訴訟資料をもとに分析する。また、令和3年度に果たせなかったマロ友の会への入会を目指す。 後期にはCNRSの研究ディレクターであるマルク・レンヌヴィルを招き、文学と「女性殺し」についての国際ワークショップを開催する。また、犯罪文化の研究の第一人者である故ドミニク・カリファについての国際共著に参加する。
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Causes of Carryover |
感染症の拡大により出張や招聘ができず、旅費も謝金も使用する機会がなかった。 その分、次年度のフランスでの調査は予定よりも長くなるほか、学会・研究会等は対面開催が増えているため、夏季休暇以外でも発表等のために海外に出張する必要がでてくる。また、海外研究者を日本に招聘することも可能になるだろう。 このように、本年度使用する予定であった予算はほぼそのままの内容で次年度に使用することになると思われる。
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Research Products
(3 results)