2022 Fiscal Year Annual Research Report
Ein Studium ueber die Ueberlieferung und Entwicklung des Begriffs "Bildungsromans" in der ersten Haelfte des 19. Jahrhunderts.
Project/Area Number |
21K00440
|
Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
北原 寛子 北海学園大学, 経済学部, 教授 (60382016)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Bildungsroman / ビルドゥンクスロマン / 教養小説 / ドイツ文学 / Bildung / 小説理論 / Bildungsgeschichte |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツで文学のみならず広く社会全般で19世紀後半から20世紀後半までの重要な役割を担うBildungsroman(「教養小説」)は、フリッツ・マルティーニによる1961年の論文で19世紀初頭のモルゲンシュテルンの論文に最初の使用例があることが確認されている。その後この概念が文学研究で普及するのは、ディルタイが1870年に発表した『シュライヤーマッヒャーの生涯』に使用されてからである。ディルタイがモルゲンシュテルンの論文を知っていたという形跡はない。では、この用語は多元発生的とはいえ、ディルタイによる独自の創出だったのだろうかーこの問いを明らかにしつつ、さらに19世紀初頭のドイツにおける小説のとらえられ方を考察するのが本研究のテーマである。 本年度の本研究では、Bildungsromanの類義語Bildungsgeschichte(「教養の歴史」「形成の歴史」)が18世紀末のいくつかのテクストで使用されていたことを確認することができた。たとえばヘルダーやフリードリヒ・シュレーゲルがBildungsgeschicteを頻繁に使用している。ただし、BildungsromanのBildungは個人における人格陶冶に焦点があるのに対して、ヘルダーやシュレーゲルではとある民族がどのように形成されたのかという大きな人類史的な視点から検討する議論の過程で使用されており、本質的な意味が異なっていることも確認できた。 本研究の成果は、次年度以降の研究成果とあわせて単著として発表を予定しているため、論文での発表は控えている。
|