2023 Fiscal Year Annual Research Report
微視的類型論・機能主義的観点によるバルト海周辺諸語の否定の地域言語学的研究
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21K00477
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐久間 淳一 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (60260585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 浩司 金沢大学, 人文学系, 教授 (40313621)
當野 能之 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (50587855) [Withdrawn]
大辺 理恵 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (80648949)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パラレル・コーパス / 微視的類型論 / 機能主義 / 地域言語学 / フィンランド語 / スカンジナビア諸語 / バルト語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、対象言語(フィンランド語、エストニア語、アイスランド語、リトアニア語、ロシア語、デンマーク語、スウェーデン語等)のパラレル・コーパスを活用することとしているが、別の科学研究費課題で作成した『星の王子さま』のパラレル・コーパスのみでは本研究の遂行に十分でないため、『ハリー・ポッターと賢者の石』のパラレル・コーパス作成作業に継続して取り組んだ。また、新型コロナウィルス感染症やウクライナにおける紛争の影響等で令和3年度、4年度に実施することができなかった現地調査を2件行った。 フィンランド語に関しては、否定表現が文中でどのような位置に現れるか、当該表現の語順を変えた場合、意味上何らかの違いが生じるかどうか等について、コーパス及び母語話者からの聞き取りによって調査を行った。アイスランド語とフェーロー語に関しては、両言語の否定表現の異同を、コーパスを使って検証した。両言語の否定の方略は大部分平行的だが、前者には不定冠詞が、後者には進行形が存在しないこととの関連で、否定表現にも違いがみられる。リトアニア語、ロシア語に関しては、両言語における否定と語順の関係、及び否定と格枠組みに関して、コーパス及び母語話者からの聞き取りによって調査を行った。また、現地調査の際、ヴィルニュス大学の専門家らと意見交換する機会を得た。デンマーク語に関しては、思考動詞に後続する名詞節内の否定辞(ikke)の主節への繰り上げ現象について、繰り上げ現象を伴うかどうかで意味に差異があるかどうか、また合わせて、日本人デンマーク語学習者の否定辞繰り上げの習得状況の分析を行ない、その成果を10月にデンマークで開催されたデンマーク文法学会で発表した。これらの研究成果のうち、アイスランド語、フェーロー語に関しては論文として取りまとめ、他の言語についても近日中の投稿を予定している。
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Research Products
(2 results)