2022 Fiscal Year Research-status Report
明治期における東アジア漢字音対照研究の検証と日韓台漢字音変遷の比較
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21K00520
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中澤 信幸 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (30413842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 裕慈 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70552884)
岩城 裕之 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (80390441)
加藤 大鶴 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (20318728)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日台大辞典 / 日本漢字音 / 中国語諸方言音 / 韓国漢字音 / 台湾語音 / H.A.Giles |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1907年刊『日台大辞典』の「緒言」における東アジア漢字音の対照研究について検証することを目的としている。前年度は「緒言」における東アジア各漢字音の対照部分についてデータベース化を行った。このデータベースをもとに、「緒言」の各漢字音について、J. MacGowan English and Chinese Dictionary of the Amoy Dialect(『英厦辞典』)、C. Douglas Chinese-English Dictionary of the Vernacular or Spoken Language of Amoy(『厦英辞典』)、H. A. Giles A Chinese English Dictionary、S. W. Williams A Syllabic dictionary of the Chinese Language(『漢英韻府』)等、「緒言」が典拠とした文献との照合を行い、この「緒言」の対照研究の有用性について検証した。 この成果を受けて、今年度は台湾・台南で開催された「第十四屆台灣語言及其教學曁台灣學「蛻變的聲音」國際學術研討會」(2022年8月27・28日)で口頭発表を行った。その際、『日台大辞典』の編纂者である小川尚義における、江戸時代の漢字音研究からの影響関係も重要である、また後世のカールグレン(B. Karlgren 、高本漢)の『Etudes sur la Phonologie Chinoise』(『中国音韻学研究』)との影響関係についても、考察すべきであるとの指摘を受けた。それらの知見を承けて、今年度はデータベースに上記文献の内容を追記するとともに、「緒言」がやはり典拠としていた江戸時代の太田全斎『漢呉音図』の内容も追記した。またカールグレン『中国音韻学研究』との対照も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『日台大辞典』の「緒言」における東アジア各漢字音(厦門・福州・客人・広州・上海・温州・寧波・南京・北京・朝鮮・安南)に関する対照部分(全141ページ)をMicrosoft Excelに入力し、「東アジア漢字音対照データベース」(全689字)を完成させた。 このデータベースから抽出した各項目の代表字(130字)について、「緒言」が典拠としていたJ. MacGowan English and Chinese Dictionary of the Amoy Dialect(『英厦辞典』)、C. Douglas Chinese-English Dictionary of the Vernacular or Spoken Language of Amoy(『厦英辞典』)、H. A. Giles A Chinese English Dictionary、S. W. Williams A Syllabic dictionary of the Chinese Language(『漢英韻府』)、そして太田全斎『漢呉音図』の内容を追記し、これらの影響関係について対照できるようにした。
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Strategy for Future Research Activity |
完成させた「東アジア漢字音対照データベース」について、引き続き「緒言」が典拠とした文献との照合を行い、この「緒言」の対照研究の有用性について検証を行う。また、後世のカールグレン『中国音韻学研究』との対照も行う。 そして現代の日本呉音、日本漢音、朝鮮漢字音、台湾語音も追記することで、漢字音対照研究の資料として完成させる。 この漢字音対照資料をもとに、研究分担者とともに、日韓台の漢字音変遷に関する記述を行うことで、通時的な漢字音変遷の比較研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
前年度に引き続き、今年度もコロナウイルス感染の影響により、海外での調査、打ち合わせ等が実施できなかった。国際学会もオンラインでの発表となった。 次年度は海外での調査、打ち合わせ等が実施できることが期待されるが、航空運賃等が当初の見込みより高騰しているため、その旅費分として持ち越すことにする。
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Remarks |
台湾・国立成功大学人文社会科学センターと台湾語文学会の共催で、「多言語台湾コミュニティ」に関する国際学会を開催した。構造言語学、社会言語学、語用論、認知言語学、教育心理学、さらに分野横断的な立場から、多言語コミュニティの将来における持続可能な共生に向けての研究発表を行った。
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Research Products
(5 results)