2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K00599
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
竹本 英代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50294484)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本語教授法 / 日本語学校 / 宣教師 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、日米外交政策における長沼直兄の日本語教授法の意義を明らかにするために、長沼が関与したとみられる昭和25年に創設された京都日本語学校の設立経緯を明らかにした。資料としては、東京日本語学校の学校関係資料から長沼の日本語教授法に関する資料調査を行った。また日米外交政策における北米外国伝道会議のインターボード連合委員会の動向について明らかにするために、会議資料と委員会資料の調査を行った。 その結果、戦後、京都に日本語学校が設立されたのは、昭和22年9月の北米外国伝道会議の日本委員会の提案に始まること、そして設立を実行したのがインターボード連合委員会の現地委員会であったことが明らかになった。背景として、日本委員会が戦後に日本に送る宣教師を増やそうとする計画があった。そのなかで、昭和24年の中華人民共和国の建設や昭和25年の朝鮮戦争の勃発により、中国から日本への宣教師の退避の状況があり、来日する宣教師の日本語教育の場が急務とされていた。現地委員会が京都に日本語学校を設立した理由は、京都は戦災を受けておらず、宣教師の住居の確保が現実的に可能であった理由と、京都に残された日本の伝統文化が高く評価されたと考えられる。 京都日本語学校の設立には、戦前、東京の日語文化学校の校長であった宣教師のダウンズの果たした役割が大きいが、長沼は京都日本語学校の日本語教員の選定、日本語教師の養成に携わり、日本語教育においても長沼の日本語教授法や教科書が採用された。長沼は昭和23年4月から東京で東京日本語学校の校長として日本語教育を実践していた。東京日本語学校での日本語教育の実態が現地委員会に一定の評価を受けていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、長沼直兄の日本語教授法の意義を明らかにする計画であった。しかし、長沼の教授法の特徴を明らかにする研究ではなく、長沼の教授法が当時どのように評価されていたかの視点からの研究となった。おおむね順調に研究は進んでいるが、長沼の先行研究の検討を行うことと、長沼の関係者にインタビュー調査が可能であれば、更に調査を加える必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、国際基督教大学における日本語教育コースの設立の意義について、アメリカ宣教師団のインターボード連合委員会の資料や宣教師文書から明らかにする。国際基督教大学の創設経緯にも関係することから、同大学の資料の調査が不可欠となる。
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Causes of Carryover |
日本国内で資料の調査を予定していたが、コロナの影響で急遽取りやめになったため、出張旅費が残額として残った。令和4年度は、翌年分と合算して、引き続き、調査・研究のための交通費や原稿の執筆にかかる経費とする計画である。
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