2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K00677
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大木 充 京都大学, 人間・環境学研究科, 名誉教授 (60129947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ヴィエル エリック 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00637308)
杉山 香織 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (00735970)
堀 晋也 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 助教 (00737546)
ムートン ジスラン 琉球大学, グローバル教育支援機構, 非常勤講師 (20761365)
長野 督 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 名誉教授 (30312408)
西山 教行 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (30313498)
柳 光子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60284387)
Graziani Jean 京都大学, 国際高等教育院, 特定講師 (60538437)
倉舘 健一 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師(非常勤) (70407138)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 学習環境要因 / オンライン授業 / 遠隔授業 / 対面授業 / 自己決定理論 / 動機づけ / 学習者の心理的欲求充足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,これまでに実施したアンケート調査の結果を分担者の堀晋也が代表して論文にまとめた。本研究は,2021年度に大学生のフランス語学習者を対象に実施した2回のアンケート調査の結果をもとにして、ポストコロナ時代の言語教育におけるオンライン授業のあり方について、動機づけの観点から考察することを目的とする。 本研究で実施したアンケートはフランス語の授業形態に関する学生の意識調査を目的とするものであるが、その理論的枠組みとなっているのが自己決定理論(Deci & Ryan, 1985;2000)である。この理論は、活動に対する主体性の認知度である自己決定度を尺度にして内発的動機づけと外発的動機づけを連続体として扱っている。そして自己決定度を左右する要素として理論で示されているのが「有能さ」、「自律性」、「関係性」それぞれに対する心理欲求である。 一口にオンライン授業と言っても、その形態や授業内容によって学習者の動機づけに与える影響がさまざまであることが本研究では明らかになった。当初は評判が芳しくなかった非同期型も非オーラルの授業においては対面授業と遜色のない基本的心理欲求の充足度が示された。基本的心理欲求についてはさらに、対面とオンラインの混合型や同期型と非 同期型の混合型においても比較的高い充足度が示された。これらの結果は、対面授業が中心となっている現在、教室での活動をより効率良くするためには「教室外でもできることは教室外で」という視点を持つことが改めて重要になることを示唆している。オーラル、非オーラルに関係なく、オンラインを活用して教室での活動の前に予習や下調べなどの準備に充てる、あるいは反対に復習や学習したことを応用した課題に取り組む回を設けるといったことが考えられる。コロナ禍での経験、そこで得られた知見やノウハウは今後の教育の基盤となりえるのではないだろうか。
|