2023 Fiscal Year Research-status Report
英語教育における適切な語の数え方の提案-接辞知識の発達に関する包括的調査を通して
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21K00706
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹尾 洋介 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (80646860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 英語教育 / 語彙学習 / 接辞 / 多義語 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度より順次施行されている新学習指導要領では,学習する英語語彙について量的観点から目標が定められている。具体的には,小学校で600~700語,中学校で1,600~1,800語,高等学校で1,800~2,500語,合計4,000~5,000語を学習するとされている。しかしながら,質的観点からの基準がないため,教科書作成において偏りが生じてしまう可能性がある。一つの質的観点として,派生形・屈折形が挙げられる。1つのWF内の語のうち,どの派生形・屈折形がどのような頻度で使用されるかが明らかとなっていない。 二つ目の質的観点として多義語が挙げられる。同じ語であっても使用される意味に偏りが生じてしまうと習得が不十分になってしまう可能性がある。令和5年度はこの観点に焦点を当てて調査を行った。まず,令和4年度に中学校英語教科書18冊と高等学校「英語コミュニケーションⅠ」24冊のコーパス化が完成していたので,それを分析対象とした。分析対象としたコーパスにおいて出現頻度上位15語に含まれる自動詞comeと他動詞haveに焦点を当て分析を行った。その結果,comeは中核的意味が中学1年から多く使用され,学年が上がるにつれて抽象度の高い周辺的意味も使用される傾向にあった。一方,haveの中核的意味はどの学年でもほとんど使用されず,中学1年から複数の周辺的意味が多く使用されていた。教科書で使用される語義の種類が段階的に増加する動詞もあるが,学習初期から抽象度の高い意味で使用される動詞もあることがわかった。 これに加え,令和5年度は,新学習指導要領に基づく教科書のコーパス化をさらに進めた。当該年度より利用可能となった「英語コミュニケーションII」24冊および「論理・表現II」17冊の合計41冊の教科書を電子データに変換しコーパス化した。加えて,小学校英語教科書全15冊のコーパス化も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定以上の校務のため
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,当該年度より利用可能となる「英語コミュニケーションIII」および「論理・表現III」の教科書のコーパス化を進める。また同時に,接辞分析プログラムを用いて,教科書コーパスにおける接辞の種類,出現する学年,頻度などを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
新指導要領に基づく高等学校英語教科書(「英語コミュニケーションIII」および「論理・表現III」)の分析を次年度に行うため。教科書購入費用とコーパス作成に伴う謝金を次年度に行う予定である。
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