2022 Fiscal Year Research-status Report
Flow Experience in L2 Extensive Reading
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21K00798
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
種村 俊介 金城学院大学, 文学部, 教授 (70435428)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多読 / フロー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先行研究であるKirchhoff (2013)で使用されたフローの定義を踏まえ、英語の多読におけるフロー体験を「読書に完全に集中しているため、普段は気づくようなこと(例えば、他人の話し声、時間の経過、空腹感や疲労感など)に気づかなくなるような体験」と定義し、英語を外国語として学ぶ大学生を対象に(1)多読を経験する以前に英語の読書においてフローを体験しているか、(2)多読指導を受けることで英語の読書においてフローを体験するか、(3)フロー体験は多読行動と関連があるか、(4)フロー体験が学習者の英語の読書にどのような変化を与えるか、(5)フロー体験をしやすい学習者は多読に対してどのような心理的傾向を有するかを検証することを目的としている。 上記の目的を達成するために、2年目の本年度も、大学生を対象に10週間以上に亘る多読実践を行い、多読行動と多読実践期間中にフロー体験を得られた図書の冊数を調査した。加えて、英語の読書態度(Yamashita, 2007)と多読に対する心理的傾向(三上, 2015; Takase, 2003など)を調査するための質問紙調査を複数回実施した。また、収集したデータの分析を開始した。 さらに、Arai (2022)で用いられた質問紙を使用し、授業内多読におけるフロー体験の予備的調査を行った。Arai (2022)の質問紙は、フロー体験を4つのサブカテゴリー:(1)attention、(2)enjoyment、(3)interest、(4)motivationに分け、多読中のフロー体験を測定するために作成された。この質問紙を使用し、フロー体験の調査を行うことで、より多面的に多読におけるフロー体験の実態を測定できることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5つの研究課題の内、(1) 学習者は多読を経験する以前に英語の読書においてフローを体験しているか、(2)多読指導を受けることで英語の読書においてフローを体験するか、(3)フロー体験は多読行動と関連があるか、(5)フロー体験をしやすい学習者は多読に対してどのような心理的傾向を有するかの4つの課題について、収集したデータを基に分析を行った。今後、結果をまとめて、論文として発表することを計画している。加えて、研究課題の(4)フロー体験が学習者の英語の読書にどのような変化を与えるかについては、収集したデータを分析する予定である。 さらに、Arai (2022)の質問紙を用いた予備的調査のデータ分析を行った。その結果を2023年度の8月にインドネシアで開催されるThe 6th Extensive Reading World Congressで発表する予定である。具体的には、本研究課題の(2)、(3)、(4)に関連して、(ア)学習者は授業内多読においてフローを体験するか、(イ)体験する学習者は体験しない学習者に比べて授業外での多読を行うか、(ウ)体験する学習者としない学習者の英語の読書に対する態度はどう異なるかについて、検証結果を報告することを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究でのフロー体験の定義である「読書に完全に集中しているため、普段は気づくようなこと(例えば、他人の話し声、時間の経過、空腹感や疲労感など)に気づかなくなるような体験」に基づいて研究課題の調査を継続して行う。加えて、Arai (2022)の質問紙を用いて多読中のフロー体験を測定し、5つの研究課題の内、4つの研究課題(2)多読指導を受けることで英語の読書においてフローを体験するか、(3)学習者のフロー体験は多読行動と関連があるか、(4)フロー体験が学習者の英語の読書にどのような変化を与えるか、(5)フロー体験をしやすい学習者は多読に対してどのような心理的傾向を有するかについて、検証したいと考えている。本研究の定義による調査に加えて、多読におけるフロー体験をより多面的に捉えられるArai(2022)の質問紙を用いることで、より詳細な調査結果が得られることを期待している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額発生の主な理由は、国際学会での発表が行えなかったため、海外出張のための旅費を使用しなかったためである。令和5年度はインドネシアでの国際学会での発表を予定しており、旅費を使用予定である。さらに別の国際学会でも発表できるように準備を進め、海外旅費を使用したいと考えている。別の国際学会での発表ができなかった場合は、多読用図書や研究環境改善のための機器などの購入のための資金として使用することを計画している。加えて、データ処理のための人件費や英語論文執筆の際の校正の謝金に使用したい。
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