2022 Fiscal Year Research-status Report
植民地朝鮮のアナーキズムのグローバルな視点からの再構築
Project/Area Number |
21K00892
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 容照 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00705436)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | アナーキズム / ナショナリズム / 朝鮮 / 独立運動 / トランスナショナル |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の植民地時代(1910~1945)の朝鮮人によるアナーキズム運動は、解放後の韓国で長い間、社会主義に関する研究がタブーだった反動から、民主化後の1990年代以降、独立運動の一環であることが強調され、一国史的に研究されてきた。それに対して本研究は、朝鮮アナーキズム史をグローバルな文脈に位置付ける。そして、独立運動の一環としてではなく、「いま・ここで」支配のない状態を作り出すために国境を越えて協力しあう運動として再構築することを目指す。具体的には、①西欧で生まれたアナーキズムが朝鮮半島にどのように流入したか、②朝鮮人と他民族のアナーキストの国境を越えた交流、③朝鮮アナーキズムと独立運動の対立や葛藤、以上の3点を解明することで、朝鮮アナーキズム史をグローバルな視点で再構築するものである。 2年目である2022年も、コロナウィルスの影響により海外での調査が難しかったため、日本国内に所蔵されている史料でもある程度の分析が可能な①を進めた。朝鮮におけるアナーキズムの受容に深く影響を及ぼしていた日本のアナーキズムの翻訳状況の調査を進め、その成果である論文の執筆を進めた。 また、②と関連して、在米朝鮮人アナーキストが刊行していた雑誌の分析に着手し、アメリカでの朝鮮人アナーキストと在米の各民族のアナーキズム団体との交流や、郵便物を介した中国のアナーキストとの交流があったことを掴んだ。今回の分析で掴んだアメリカにおける、朝鮮アナーキストと各民族のアナーキストとの人的結びつきを土台に、その人的結びつきが思想や活動の面にどう反映されていたか、引き続き分析を続けていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外での調査が難しい状況が続いている。だが、日本に所蔵されていたり、取り寄せたりできる文献の分析は、ある程度進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析の成果を、まずは論文等のかたちで発表しつつ、それと並行して国内外調査を踏まえた研究を進展する。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響により韓国などの海外での史料調査ができなかったため。また、文献分析がある程度進展し、そちらに労力を割いたため。今後は、国内外調査と文献分析を進める。
|