2021 Fiscal Year Research-status Report
Cataloging of the Islamic Court Documents in Uzbekistan through the International Collaboration on Line
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21K00914
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
堀川 徹 京都外国語大学, 外国語学部, 名誉教授 (60108967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 雅樹 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (30773824)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イスラーム法廷文書 / 中央アジア / 古文書カタログ / オンライン / 国際共同 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、個々の文書データをどのように収録するか、すなわち、カタログの体裁をどのようにするかを決めて、そのひな形を作成することが第一の目的であった。そこで、計画書でも記したとおり、長年にわたって共に「中央アジア古文書研究プロジェクト」を推進してきた、磯貝健一京都大学教授と協議して検討したが、問題点もあって最終的な結論に達することができなかった。ひな形の作成は令和4年度に持ち越されることになった。 一方、古文書の読解作業は、研究分担者の杉山雅樹氏の尽力もあって、予定通り順調に進められている。その成果は、とくに杉山氏の「中央アジア古文書研究セミナー」での研究発表に直接反映している。また、前述した磯貝教授の発案により、個々の古文書を活字化して公表しようとの計画が浮上し、読解した文書についてアラビア文字による入力と、原文書との突合せによるチェック作業を行うこととなった。まずは、ヒヴァ・ハン国時代に作成されたイスラーム法廷文書のうち、売買文書を対象として作業が進められ、年度末時点で30点ほどの文書の活字化とチェックが完了している。 しかしながら、本研究のもう一つの柱であった現地研究者との共同作業については、先方の事情が変化したため当初考えていたような体制を構築することができなくなった。コロナ禍による彼の地における情勢の変化を予測できなかったためで、研究の軸足を国内に移すなど研究方針の見直しが必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄に記したように、何よりも本プロジェクトの柱となるべき国際共同作業が推進できなかったことが進捗を妨げた最大の理由である。報告者の見通しが甘かったのが最も大きな要因であるが、「国際共同」にとらわれず国内の研究者たちの協力を得て研究を進めることに方針転換した。 具体的には、上述した磯貝教授より当初考えていた以上の協力を得ることができた。また、研究分担者として杉山雅樹氏の協力を得たことも研究を進捗させた大きな要因である。申請段階では、国内研究者に負担をかけることを避けるため、研究分担者を置かない予定であったが、実施段階で杉山氏に分担を依頼したのが功を奏したと言えよう。氏の協力があって、やや遅れているとはいえ、研究を上記した段階まで進めることができたのである。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、現時点では現地研究者の協力を得ることは難しいものと考える。従って、令和4年度も昨年度決断して転換した方針、すなわち国内の研究者の協力を得るという方針に従ってプロジェクトを推進していかねばならない。具体的には、磯貝教授との協力関係の下、まず、カタログのひな形をつくることを急ぐ必要があろう。 次いで、古文書の読解とその活字化の作業を進めると同時に、カタログのひな形に応じてデータを入力する作業を推進していくことも実施しなければならない。そうすることで、当初計画していたカタログの作成プロセスを前進させ、研究最終年度にカタログを公表できるよう努力したい。 尚、引き続き現地研究者とは連絡を取り共同研究の可能性を探りたい。また、当初予定していた研究者とは異なる、別の現地研究者との接触も考えていきたい。それによって、本プロジェクトのみならず、今後の共同研究を見通した協力関係を構築できると考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、「研究実績の概要」「現在までの進捗状況」欄に記したように、何よりも本プロジェクトの柱となるべき国際共同作業が推進できなかったことが最大の原因である。 令和4年度にこうした差引額をどの様に使用するかについては、「今後の研究の推進方策」欄で国内研究者の協力を得ると述べたことと関連して、まずは文書読解能力を有する国内の研究者に作業を依頼する際に発生する経費に充てることとする。また、現地研究者との連絡を取る中で、あるいは直接対面して交渉しなければならないような状況が生じることも考えられることから、そうした際には、この差引額を海外旅費の一部に充てる可能性も考慮している。
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