2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K00977
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
水ノ江 和同 同志社大学, 文学部, 教授 (10824568)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 縄文時代 / 磨製石斧 / 全国編年 / 定角式石斧 / 乳棒状石斧 / 擦切石斧 / 縄文土器編年 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまでの研究を総括することを目的とした「調査研究報告書」の作成・刊行を目指した。そこで7月には研究協力者が一堂に会し、報告書の原稿執筆にかかる方向性や章立ての統一、頁数や図面使用の確認、締切りの設定と原稿の提出方法などについて共通認識を得るに至った。その結果、当初の予定通り、2月29日には500冊の印刷を終え、関係機関への配布を行った。 3年間の研究は、「日本列島の各地から出土する縄文磨製石斧を、日本列島を網羅する精密な土器編年に基づいて地域的な年代を確定し、縄文磨製石斧の地域変遷と系統関係を追究すること」であった。その結果、定角式石斧・乳棒状石斧・擦切石斧に関して、出現地の確定、時間の推移に伴う空間的展開と終焉を日本で初めて詳細に追うことができ、大きな成果を得ることができた。 具体的には、定角式石斧の出現は、前期前葉の北陸であり、前期中葉には東北へ、前期後葉には中部・東海へ展開し、近畿へは遅れて中期後葉になる。北海道・中四国・九州には及ばない。東海では晩期前葉で、近畿は後期中葉でなくなるが、それ以外の東北・関東・北陸・中部では量的には減っていくものの晩期まで継続することを確認した。乳棒状石斧の出現は、前期前葉の関東・北陸である。その後は北海道や東北に展開することはないが、前期中葉には中部へ、前期後葉には東海へ、中期前葉には近畿へ、中期後葉には中四国へ、そして後期前葉には九州に至る。西へは時間の推移とともに展開していく状況を確認した。擦切石斧は、草創期末葉から早期前葉にかけて東北で出現し、その後早期中葉には北海道に、前期中葉には北陸に、中期後葉には関東北部にも展開する。しかし、北陸では中期中葉まで、東北では後期前葉までには終息することを確認した。
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