2021 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study on Sustainable Career Development of Women in Contemporary Asia
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21K01068
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊藤 まり子 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 客員研究員 (70640887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木曽 恵子 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (80554401)
菅野 美佐子 青山学院大学, 地球社会共生学部, 助教 (80774322)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女性 / キャリア形成 / 社会進出 / ライフコース / アジア / 比較民族誌的 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒンドゥー文化圏の中心であるインドと、中華思想・儒教文化圏であるベトナム、そして上座仏教圏であるタイの三地域を対象にして、その社会・文化的固有性と共通性を理解しながら、それぞれの地域社会に暮らす女性の社会進出とキャリア形成、そのライフコースの変化に着目して、女性自身にとってのキャリア形成とは何か、その多層性について比較民族誌の視点から追及することにある。 とりわけ本研究が注視するのは、現代アジア女性の社会参加への希求が、従来の西欧から非西欧社会への一方向的な価値の流入としては語り得ない多面的なフェーズに移行していること、そしてその移行はアジア女性たちの「怒り」や「困惑」、「共感」、「希望」といった情動/感情から突き動かされている点である。 初年度である2021年度は、世界規模での新型コロナウィルス感染症の感染拡大を背景に、フィールドでの調査ができなかったため、研究活動は関連文献の収集と解題に重きをおき、その報告を目的とする共同研究会をオンラインで3回開催した。 第1回目の共同研究会(2021年6月26日開催)では、本研究課題の実施にあたっての目的、実施計画、各メンバーの役割分担の確認をふまえて、ヤン・プランマ―著『感情史のはじまり』について、本課題に関係のある章を分担して解題した。 続く第2回目(2021年8月30日開催)では、それぞれが担当する社会を対象とする女性の社会参加に関連した民族誌についてぞれぞれ解題し、報告しあった。 第3回目(2021年11月6日)は、研究分担者である木曽と菅野が報告を担当し、木曽はSNS上で「子育て」についての発信を続けるタイ女性に着目した報告を、菅野は、Fineman, Stephen ed.”Emotion In Organizations”を解題した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予想していたことではあるが、コロナ禍の影響により、初年度は研究対象地での調査活動を実施することができなかった。具体的には、木曽と菅野は、フィールドであるタイとインドにおける新型コロナウィルス感染症の感染状況が悪化したことにより渡航がかなわなかった。また伊藤は、現在、JICA専門家としてベトナムに滞在中であるが、ベトナム政府が新型コロナウィルスの感染拡大による社会隔離を長期的に実施し外出制限を行ったため、調査活動は不可能であった。 したがって、一部計画していたフィールドでの調査が不可能であったこと、また日本およびベトナム国内でも、移動や活動の制限があり、文献収集についても難しい状況であったことにより、研究状況は遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2022年度は、8月以降で、3名ともにそれぞれのフィールドでの調査活動を計画している。新型コロナウィルス対策の実施がそれぞれの社会で安定して取り組まれ、外国人の入国も通常通りとなったことから、現時点(2022年5月)において、8月の調査活動は可能と考えている。 またそのための事前打ち合わせとして、2022年5月29日に2年目初回の共同研究会を実施し、それぞれのフィールド調査計画についての報告をする予定である。ここでは、調査すべき点に加えて、今後の成果報告のあり方などについて議論する。 それと同時に、初年度に引き続き、関連文献の収集とその解題をしながら、フィールド調査で得られた一次資料の分析方法を検討していく予定である。 また、今後の成果報告の計画としては、コメンテーターを招へいした日本国内でのワークショップ開催をすでに具体的に検討している。 これらを通じて、初年度の活動の遅れを取り戻しながら、研究成果とりまとめに向けて着実に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由には、新型コロナウィルス感染拡大によりフィールドへの渡航と現地調査が実施できなかったことがあげられる。本研究のメンバーは、いずれも海外の地域社会を研究対象としており、所属機関の業務との兼ね合いをみながら、1年に複数回の渡航を実施することを理想とする。したがって科研費の使途についても、その大部分が旅費として計上される。 しかし、前述のように、コロナ禍により海外渡航ができなかったため、2021年度分として計上していた予算は、購入予定であったPCの購入や文献購入として計上したのみにとどまった。そのため、予算の一部分を、2022年度使用額とすることとした。 今後の使用計画としては、フィールド調査が可能となったことにより、各分担者が旅費として予算の執行を順次進めることが可能であり、適正な支出ができると考えている。
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