2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K01136
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 哲治 同志社大学, 司法研究科, 教授 (40289129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御幸 聖樹 同志社大学, 司法研究科, 教授 (20634009)
奥村 公輔 成城大学, 法学部, 教授 (40551495)
高橋 正明 帝京大学, 法学部, 講師 (50757078)
土井 真一 京都大学, 法学研究科, 教授 (70243003)
石塚 壮太郎 日本大学, 法学部, 准教授 (90805061)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 救済法 / 憲法 / 人権 / 司法権 / 国際人権法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目の冒頭に、まず、「わが国における『救済法』理論の現況と展開可能性」を展望する研究会を開催し、研究の現段階を確認し、将来を展望した。とりわけ、元々救済法という観念を有する訳ではないフランス法、ドイツ法について、救済の視点からの分析の視点を探った。展望としては、救済法の観念を有するか否かにかかわらず、英米であれば救済法の観念によって処理されている事柄への対応が必要となっている場合があるのではないか、という見通しが得られた。 次に、救済法の観点から行政法学の研究を進める指導的な行政法学者をゲストとして招いて、行政法学とレメディ論について、報告を踏まえて研究を深めた。行政法学においても、救済法の観点からの研究が必要であることが確認できた。 さらに、憲法訴訟論の進展を踏まえて救済法についての研究をはかる観点から、違憲審査基準論についての指導的な憲法学者を招いて、違憲審査基準の性格について、比較衡量論・比例原則との対比を踏まえて研究を深めた。 併せて、各国憲法および国際人権法における救済法のあり方について、判例や実例における救済の展開を広く調査するとともに、救済のあり方について、個別具体的な救済と、制度的な救済との理論的な区別も踏まえた基礎的な知見について研究を進めている。 なお、カナダの判例理論を手がかりとして、間接差別の憲法的統制について論文を公表し、カナダでは間接差別の救済措置として確認判決が多用されていることを明らかにするとともに、その意義も含めてさらに救済措置に関する検討が必要であるとの指摘を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
比較法的、基礎理論的な研究については、伝統的な大陸法的思考になじんできたわが国法学に理論的な基盤を有しているとは言い難い救済法について、どのように考えるべきかのてがかりを着実に模索していると考えられるが、予定されていた実地に当たっての比較法的な研究は、パンデミックの状況によって立ち往生している。
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Strategy for Future Research Activity |
救済法とはなにかと言うことについて、私法学も踏まえた英米法の基盤に立ち返っての理論的な研究とともに、比較法、国際人権法も広く対象とした現実の有り様についての分析を進めていきたい。実地の比較法研究についても、今年度後半からは可能となることが期待される。
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Causes of Carryover |
パンデミックにより研究会がオンライン化し、また、海外調査の実施が延期されたため、次年度使用額が生じている。 今後の使用計画としては、旅費については海外調査が実施できるように検討するが、実施が困難な場合には、代替手段により調査等を行うとともに、研究会の開催回数を増やし、ゲストスピーカを招くことを検討する。
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