2021 Fiscal Year Research-status Report
International Legal Framework on the Response to International Crime Occurrence in Diversified Area
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21K01169
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
皆川 誠 名古屋学院大学, 法学部, 准教授 (00386533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尋木 真也 愛知学院大学, 法学部, 准教授 (00581662)
吉開 多一 国士舘大学, 法学部, 教授 (00739972)
高屋 友里 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 客員研究員 (70625938)
瀬田 真 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (90707548)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際犯罪 / 国際法 / 国際テロリズム / 海上犯罪 / 宇宙活動における国際的規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の初年度となる令和3年度は、研究メンバー各自による個別研究を中心として研究課題への取組みを進め、国際テロリズム犯罪概念の構築(皆川誠・研究代表者)、海洋犯罪への対応(瀬田真・研究分担者)、宇宙活動における国際的規制(高屋友里・研究分担者)および国内における犯罪対応(吉開多一・研究分担者)に関する論稿がそれぞれ公表された。 皆川論文は、慣習国際法上のテロリズムの定義を認定した2011年レバノン特別法廷上訴裁判部中間決定について分析を行い、国際テロリズムの定義における越境的要素や政治的動機要素の位置づけなどが、国際テロリズムの定義確定に関する今後の学術的議論において重要となってくる旨を指摘した。瀬田論文は、海上テロリズムを規制するために採択されたSUA条約の適用対象となる海上暴力行為について、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)における規制内容を分析し、その枠組みがアフリカにも導入されるなどアジア発の国際法枠組みとして評価可能であることを指摘した。高屋論文は、現在進められている月探査ミッションについて、月面活動における原子力電源(NPS)の利用に既存の国際法規範が十分に対応していない点を踏まえ、既存の枠組みである1992年NPS原則および2009年NPS安全枠組みについて検討し、その適用における限界を示しつつ、原子力事故に関する国際原子力機関(IAEA)の2条約を分析することで、月面におけるNPS事故に関する法的課題について指摘した。吉開論文は、令和3年版犯罪白書における「詐欺」の特集に関連して現在わが国で問題となっている特殊詐欺について分析を行い、犯罪の多様化の観点から重要な示唆を得た。このように、学術的研究面において一定の成果をあげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は研究メンバー各自による個別研究が順調に進められ、国際テロリズム犯罪概念の構築、海洋犯罪への対応、宇宙活動における国際的規制および国内における犯罪対応について学術論文を公表することができており、本研究が目的とする空間的把握に基づく国際犯罪への国際法上の対応枠組みの構築および国際犯罪対策の国際法を国内実施するためのわが国国内刑事法の立法・運用への指針提供という点において、想定に近い成果があげられているように思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の活動を通して、研究メンバー各自による個別研究については、研究目的の達成という点からは順調な進展が見られている。令和4年度も引き続き研究メンバーの個別研究を中心として活動を進展させていく予定であるが、個別研究のまとめおよび体系化をも意識した活動も実施していきたいと考えている。COVID-19流行の影響は未だ収束を見せていないが、令和4年度は研究メンバーによる学会・研究会報告も複数予定されているので、こうした機会を積極的に共同研究に活かしていきたい。
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Causes of Carryover |
令和3年度中に研究会の開催等に伴う旅費の支出を予定していたが、COVID-19流行の影響により定例の研究会が中止になるなどし、次年度に繰り越さざるを得ない部分が出てきた。COVID-19の収束状況にもよるが、令和4年度中にはこれまで中止となっていた定例研究会が再開し、研究メンバーによる研究報告も予定されているので、令和3年度の繰越分と令和4年度の研究費の使用にて研究の進展をはかりたいと考えている。
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