2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K01214
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 裕樹 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (90372523)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 相殺 / 相殺適状 / 訴訟上の相殺 / 倒産手続と相殺 / 差押えと相殺 / 相殺契約 / 三者間相殺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、各国・各法領域によって異なる要件・効果が定められている「相殺」制度について、日・英・米・独・仏法での各制度を多方向的に比較分析し、日本法の特徴を描出して、債権法改正後の日本相殺法において想定される問題の所在や、あるべき解釈の方向性を提示することを目的としている。 単なる外国法制の紹介ではなく、日本相殺法の規律構造と解釈問題に関する考察を主目的としていることから、令和3年度には、まず現在の日本相殺法の運用状況を整理し、外国の相殺制度を分析する際の視角を明らかにするための作業を行った。その際には、民法典中の相殺に関する規定のみを対象とするのではなく、訴訟手続や倒産手続における相殺の取扱い方についても整理し、民法典の規律との関係性を位置づけて、学説の対立状況の説明よりも、実際の相殺の運用を明確化することに重心を置いた。 また、これと並行して、現在の仏法の相殺制度に関する文献の調査を進めた。 日本相殺法の整理内容については、研究ノートとして公表すべく、投稿手続を行っている。ここまでの考察をもとにすると、一部の場面に関する新たな規律が置かれたが、他の類似する場面において同様の規律がないことで、後者の場面における規律の欠缺がみられることがある。また、債権法改正時にほとんど考慮されなかった解釈問題が残存しているところもみられる。そのほか、改正前の議論における各説の論拠や価値判断が改正後の規定のもとでどのような意義を有するのか、あるいは意義を失ったのか、ならびに、各論者の見解に変容は見られるのかについても確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの社会的影響が収束しない中で、当初想定していなかった校務の増加があった。 また、海外での調査が研究実施計画に含まれているが、これを実現できる目途が立っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
日本法の整理については早期の公表のための手続を進めていく。 また、仏法文献の調査も継続し、その分析を内容とする論文執筆を行い、次いで、英米法の相殺法研究に移る。
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